美L! #誰でもいいけどお前らはダメ



「リュウ、そこ、どうしたんです?」
「ん〜?あー、殴られた。」
そう言ってヘラっと笑うリュウの頬には、真っ赤な痣があった。何もなかったかのように「今日もトリプルブッキングかな〜〜」なんていっているから、女性とのアレコレではないのだろう、と思う。
…だとしたらまた「アレ」かと思うと、うんざりした。
「ひっでえよな〜。他の男の名前呼んだだけでこれだぜ?顔はねーよなあ。だいたい…」
ぶちぶちと文句をいうリュウに、私は何も返すことができない。呆れてだ。
彼が男性に抱かれていると知ったのは、さらっと今日のように愚痴をこぼしたからだった。
リュウは男に抱かれていることをなんとも思っていないし、女を抱いただのなんだのと同じカテゴリに区分され、有基がいないところでは割と普通に由布院先輩の前だろうが鬼怒川先輩の前だろうが、親しい人にはこういった生々しい話題も口にする。
「まあ、疑似恋愛をしているようなものですし、デリカシーがないことは確かですね」
「そういうもんかな〜?」
はぁ、とため息を吐きながらリュウに教え込もうとしてもきっと無駄だ。この男には貞操観念も無ければモラルもない。ウォンバットは何もわかっちゃいない。
そう思うが、親しい友人にはキチンと「友人」としての付き合いをしているリュウを見ていると、何が正しいリュウを表す言葉なのかがわからない。
リュウが私たちをどう見ているのかなんて、本当に分かることはないのだろうし。


『かわいい女が好き。抱かれるのも好き。』


「っていう割にリュウって俺らとヤりたいとは言わねーよな」
「引かない俺たちも俺たちだけど、煙ちゃん…」
「確かにそうですが…由布院先輩はなぜ今その話題を出してきたのです?」
放課後になり、リュウはデートだといってすぐ下校していた。
有基はウォンバットを探しに校内を駆け回っているはずだ。
「いや、何も話すことないから?」
そういえば3人だけで話しているところをあまり見かけなかった3人が集まり、話すこともないから3人が共有する話題を振ったと考えるのが妥当でしょうか。
「あんなにすぐ股開くし、暇そうだから抱いてくれーって言ってきそーじゃん」
「一理どころか百理あるね…」
「私たちがあまり男色に理解がないから、でしょうか?合宿のとき、歯ブラシ事件でホモセクシャル疑惑を否定していた三人ですし、リュウが言い出せないのもなんとなく分かるような気がします。」
「俺はリュウがしたいってんならシてもいいけどな」
「はぁ?!煙ちゃん正気?」
「な、なにをトチ狂ったことを…」
「ジョーダン、でもないけど。俺リュウのとこいって聞いてみよっかな」
じゃな。といって由布院先輩は帰って行きました。鬼怒川先輩が由布院先輩の頭を心配しているなか、私は混乱の渦に巻き込まれる羽目に…なり、ました。
リュウを由布院先輩が抱く…?どんな風に乱れるのか、どんな声を上げるのか、
どんな風に由布院先輩を見つめるのか…なんて、今までには考えないようにしていた、それこそ生々しすぎる情景を思い浮かべてしまい、しかもそれが全く不快ではなく、強いて言えば相手が自分でないことに不満を覚える始末。
気づけばスマホはメール画面を開いていて、ついでに言うともう文章が打たれていて、我に返ったとき本当に驚いてしまいました。


「なんだよイオ〜。おれ今からホテルに…うわっ、由布院先輩まで…」
「そんなの、断りなさい!欲求不満ならば私がいくらでも抱いてあげましょう。ですからもう他の男に抱かれるのはやめなさい私たちが付き合います」
「そーだそーだ、俺らが満足させてやるって。安心しなさい若者よ」
「はぁ?え、ちょ、え、ええ?」


「おれ、あんたらとは…ッうぁ…」
ガジ、とリュウのうなじに由布院先輩がかじりついて、リュウは感じ入った声をあげながら背中を弓なりに反らした。
負けてられんとばかりに私はリュウのワイシャツをまくって、これまた噛みつくように健康的な肌に舌を這いずり回し、ビクビクと震えながら小さく喘ぐリュウをじっと見つめて…というか目が離せなくなって。
「は、ぁ…ぁんむ…だ、から…おれ、シない、てぇ…あ、あん!」
「まだいうか…腰、揺れてんぞ。」
「…!ば、かぁ…ばかばかばか、あんたら、何考えてんの!おれ、好きなやつらとはしないんだ、ってぇ」
「「はぁ?」」
「だっから!好きな人とはしないの!!!!」
ビッチの考えてること、理解不能。ほんとに。




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