美L! #あいしてない



昨夜はゆきずりの男と一夜を共にした。
女の子と一緒だったとうそをついたけど、どこまでアイツがわかっているのかは考えないようにした。
正直、『こういう』ことを女の子とする気は全くなかったけど、いざって時はそれでもいいかな、なんて思ってる。
別に誰であろうとあんまり関係がなかった。
目が覚めて、相手の男(圧倒的にその場合が多いからそう言っておくけど、女の時だってあった)のぬくもりとか、とにかく痕跡が残っていることは不快だったけれど。
どうせなら、そこに居ればよかった。だけど、みんな去って行ってしまう。
ま、女みたいにしたって、俺は女じゃないし、女扱いしてほしいってわけでもないし、女々しいやつにもなりたくないし、そもそも所詮一夜限りの相手なんだしと色々と言い訳しながら割り切っていた。


「ホントに男の子なんだぁ…。声は確かにそうだけど…こんなに可愛いのに」大抵、俺を抱く男は最初疑ってかかる。女なんじゃないかとか、俺が金に困ってんじゃないのかとか。ホント、心外だよな。
男子の制服を着てたってこう訊かれるんだから、女みたいに可愛い顔ってのも結構不便なんだよなあ。
「男じゃ、ダメかよ」
決まって俺はこう聞き返すけど、意外に男受けはよくないみたいだし?こーんなに可愛いのにな。
可愛いだけじゃダメなのかな。なんて不安もあるけど、この顔でヤらせてくれて、妊娠もしないし都合がいいっていうやつもいた。この男とか。
昨夜は激しい夜だった。あんまり記憶がないくらい普段トんじゃうけど、強烈な快感に今でも身が震える。
後ろはいつも解してあって、すぐにでも受け入れられるような準備をしてあるっていうのに男はいじわるに掠めるかどうか怪しいところを突いてきて、おれは燻られっぱなしの熱を持て余す羽目になった。
前立腺は開発のしすぎで存在を主張しているから、少し中を弄ればすぐに見つかるはずだった。
「ん、立くんの前立線はどこかな?」
「ひ、ぁう…もっと、おくッ!」
トロトロと先走りを垂らしながら、おれのソコはいつもの場所に指が当たるのを待ち望んでいる。ピクンピクンと時折切なげに震えながら涙を流すそこは、感情をありありと表しているようで、自分の欲望がどれだけ深いのかがばれてしまっているような錯覚を起こしてしまいそうだった。
腰は揺れて、自分でイイところを探そうにも、そうすると動きを変えてこられて、結局当たらない。
「う、うう…いじわる、すん、なぁ!」
ついには泣き出してしまったおれに男は堪え性がないといって笑った。
「欲しいかい?」
「あ…」
ちゅぽ、と指が引き抜かれる。入り口の淵をなぞられる感覚にゾワッとした。
決定的な刺激を与えられないままに指を抜かれ、何を意味しているのか、すんなり理解できるあたり、スレていると思った。けどそんな自分は嫌いじゃない。
男のズボンは股間の部分が盛り上がっていた。最初にキスをしたくらいで、男に何もしていなかったから、おれの痴態を見てこうなったのかと思うとなんだか興奮した。
ジッパーを下ろすジジ、という音がやけに耳に残って、脳を甘く蕩けさせていく。
貪るように性急に男のそれに口を付けると、苦味のある粘液を舌先で感じることができた。
「んぶ、んん、んっ」
じゅ、とわざと音を立てて男を煽る。そうしたらおれの方まで煽られて、我慢ができなくなってきて、上目遣いで男を求めた。
「ッ立くん!!!」
ようやく与えられた刺激に、おれはあられもない声を上げながら激しくイった。もうそれは普通にイった感じじゃなくて、精液なのか先走りなのかわからないし、ずっと気持ちいいしでおれはだらしなく口を開けたまま、何言っているのかわからない喘ぎ声を上げながら、男に揺さぶられ続けた。
「あ、あ、ああッ、や、やぁ…、も、いってる、からぁ!」
いやいやと子供みたいに泣きながら、迫り来る快感に半ば怯えてしまう始末だった。
強すぎる快感ってホント狂っちまいそうになるよな。
おれは最後には泣きながら男にすがり付いてしまう。それは毎回お決まりのパターンだったけど、今回は意識が朦朧としていたから、それをしでかしたのかわからない。
ただ、男は毎回決まってしかめっ面をする。多分今回も。
おれは明くる日になると必ず寂しくなってしまう。またやってしまったという後悔とか、あんな痴態を晒した周知とかより、なにより男は必ず去っていくっていうことに。
くしゃくしゃのシーツをぎゅっと握りしめながらまた寝るってのが、ルーチンワークみたいなもんだ。
…いつからこうなったんだっけかなあ。やっぱり女の子にはこんな姿、見せらんねえ!


おれがそういうことを経験したのは偶然だった。
女の子を相手するのにほんのちょっと飽きて、新しい刺激が欲しくなっただけ。
それがこうもはまってしまうんだから結構驚いちまう。
女は好きだし愛でるもんだけど、男は性欲処理に丁度いい。理にかなってるってこういうことか?
なーんて。
だけどやっぱり、寝るからには落としたいよな!

きっと重たいんだろう。
ゆきずりの相手だし、男だし。
だけど。

「ッ、なんで、」
「お前を抱きたい。ダメでしょうか」
そんな奇跡は求めないぜ?



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