美L! #俺とお前のfriendship



硫黄のことは普通に好きだし、親友だと思っている。
もちろん女の子のことも大好きで、天秤にかけたらそりゃあ硫黄だけれど、例の歯ブラシ事件のようなホモ疑惑をかけられるのはごめんだ。
…と、思う。
けれど、恥ずかしながら俺は結構わがままなもんで、硫黄が他のやつと話しているとほんの少しだけ…気になる。
FXのことに必死になるのは全然構わないけど、他のやつなんかより俺と話してた方が楽しいと、あいつが言ったのに、ってなってしまう。
「俺、もしかして面倒くさい…かな。」
「何がっすか?」
今日は有基と俺が一足先に部室に来たようだったので、相談する気もないけれど気にかけもしなそうな有基がいる前でそんなことをひとりごちた。
「ん〜?おまえ、食いついてくんなよ…ひーとーりーごーとー」
ぐでっと机に突っ伏しながら、考えるのは硫黄のことだ。
硫黄は学園内での評価が高いし、俺から見ても格好いいし、頭も良いし…金への執着心を除けばモテモテ間違い無しだと思う。
硫黄のことは好きだ。
硫黄のこと、俺はどう思ってるんだろう?
「有基、さ。硫黄のことどう思う?」
「仲間っすよ!」
「あー、はいはい。」
こいつに聞いた俺がバカだった。
考えれば考えるほどに俺と硫黄との関係がわからない。
そんなことを悶々と考えているうち、先輩方が来て、硫黄がきて、だらけムード全開の部室で、ダラダラと放課後を過ごした。


「立、今日は何か変でしたね。」
「は、はぁ?!何がだよ」
思わず強い口調で問いただしてしまった。きっと硫黄のことを考えていたことが起因しているのだと思う。後ろめたいっていうか、なんていうか。
「だって、今日は女の子とあまりやりとりしていなかったでしょう?そんなの立らしくないですし。」
「お、お前のせいだろぉ!!」
つい、ついってやつだ。
俺も有基ほどじゃないけどバカだから、脊髄反射でポンポン思っている言葉が出てくる。
あの事件からずっと悩まされていたのだから、たまりきったフラストレーションをぶちまけたい衝動は、そのまま言葉になって、声になって硫黄にぶちまけられる。
「お、俺、ホモじゃねーのにッ、なんか、スゲー硫黄のこと気になって、でも硫黄は親友だし、でも硫黄が他のやつと話してると、ムカムカするっていうか!好き、みたいだから…だからッ!お前のせいなんだって!」
硫黄はぽかんとした間抜け面で俺を見ていたと思ったら、突然真っ赤になって口元を手で隠した。ついでに顔も逸らされた。
き、きもちわるかった…よな…。
「りゅ、立が私のことをそんな風に思っていてくれていたなんて…」
「あ、ごめ…きもちわるかったよな、ほんと、ごめん」
やばい、なんだか泣きそうだ。
鼻先がツンとして、瞳が潤む。思わず俯いたら、涙がついにこぼれた。
「立!違うんです!う、嬉しいんです…本当に。」
「いお…?」
ガバッと抱きしめられて顔を合わせたら、いつになく真剣な表情で硫黄が俺を見つめていた。
顔はやっぱり真っ赤で、でも、なんだか胸がきゅうっと締め付けられる。そんな不思議な感覚を味わった。
「好きです、立」
「お金よりも、何よりも。本当です。」
「い、硫黄…」
ぶわっと、今度は俺の顔面がひどく熱くなった。きっと真っ赤に染まっただろう。
「いお〜〜〜〜」
ぎゅうと抱き返せば、暖かな体温がそこにあって、女の子と遊ぶよりもなによりも、全然ドキドキした。
あ〜、恋してんだなぁ。
「すき、すきぃ…」
「…もっと、言ってください…立。好きです」


※ ※

「なぁんか、雰囲気変わったよな、あいつら」
「そうかな?」
「デキてんじゃね?」
「まさか」
「あ!そういえば俺、立センパイが硫黄センパイのことで悩んでるの見たっす!」
「「…………」」
「まさか、な」
「まさか、ね」
「???」



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