暗殺 #That's certain.



満員電車は嫌いだ。痛いくらいに押しつぶされるし、時折触れる鞄や、指の感触がたまらなく気持ち悪かった、…いや、それ以上に。
「…!」
(またきた…ッ)
毎度毎度乗る電車に必ず現れる痴漢。これがカルマのここ最近の最大の憂鬱な出来事だった。
屈辱的だ。本当に。まあ、普通に警察に届ければいい。…よくないけど。
問題はここ最近そのおぞましさも感じるような行為に少しずつ快感を覚えていっていることなのだ。
初めて痴漢に遭った時の自分が見たら引いてしまうくらいの調教のされっぷりに、とろけた思考回路でも異常さはわかってしまう。
わかりたくない、認めたくなんてない。
「ふ、ぅうん…」
歯を食いしばってみるけど、そんなの無駄なくらいに、男から与えられる快感は強烈だった。
いつも中途半端に開けているワイシャツを弄り、乳首をいらう男の鼻息は尋常じゃないくらいに荒かった。明らかに周りだって気付いてるはずなのに。助けてなんてくれない。むしろ好奇の目が俺を犯してる。
「ンンンッ!?!?」
今度は声にこそ出なかったものの、驚きが大きい。
あろうことか男は、俺の尻穴に手を伸ばしたのだ。
男が俺をそういう目で見ているのは、痴漢なんてことしている時点でわかってる。
俺はエスカレートしていく様を面白おかしく見ていられればそれだけで良かったのに。
「や、やめ、そこ、んっ!」
ぬる、と冷たい粘液で濡れた指が、いとも簡単に俺のナカに侵入してくる。
俺はもう、ショックで腰が抜けた(情けなさすぎる話だけど)。
屈辱とか、そうじゃない。こんな、女みたいに犯されるんて…。
(…おい、見ろよあのガキ…)
へたり込んだ俺の目は期待で光っていたと思う。


確かにそれは期待だったんだと思う。
じゃなかったら俺はすぐにでも周りの連中含めて警察に突き出したはずだ。
そうしなかったのは…、だろう?



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