暗殺 #ねえ、頂戴



夏のうだるような暑さなんかよりも、この部屋の方がよっぽど湿っぽいし、暑い。彼の家はいつだって空調が効いていない。
そして、この行為はひどく汗をかく、熱いものだから。
「ンァッ!ひ、あぁッ」
パンパンと肌がぶつかり合う音がうるさくて、でもそんなことどうでもいいくらいに熱に溺れている。
「だひ、て…俺の中、せーし、びゅーびゅーらして!」
業は普段中出しを嫌がる。
けれど稀に、欲しがることがあった。『そーゆー気分なんだ』、というけれど、彼は気づいている。
ああ、またあの子か、と。

業とはただのセックスフレンドだった。
出会いは簡単に言えば出会い系サイト。
ためらいはあったけれど、一度業のナカを味わってしまえばそんなことは、どうだってよかった。彼は犯罪者なのである。和姦であろうと、業はまだ中学生だ。

「…で、今日は何があったの」
「……………かわいいの対象に俺は入らないから」
悔しい、と事後処理を終えた業はぽつ、といった。
「女の子がいいに決まってる。解ってるけど。…つらい。…ね、もっかい」
しよ?
中に欲しがるのはそういうことか。
女になりたいのか。
「…はー、まあ、俺からしたら君は十分可愛いけどね」
「あんたに言われても嬉しくない」
さあ、もう一ラウンドだ。


「え、好きな女の子のタイプ?」
「そ、渚くん、E組の中だったら誰が好き?」
そんなことを聞くのは、小さな期待があったのだろうか?
いないよ、だとか、…カルマくんが好き、だとか。
ありえない。後者は絶対にありえない。
「うーん、茅野なんかは親しみやすいしかわいいよね」
…だから悲しいんだ。


男とヤるのは好きだった。
始まりはレイプだったけれど、それに順応した自分が怖いと同時に、特別な存在な気がした。
男のことは好きじゃなかった。
あの、ホワイトアウトするかのような快感が好きだった。
ただ、それだけだったのに。

「…ほんと、渚くんはずるいね。」
「え、何が?」
アサシンとしての才能を開花させていく渚を格好いいと思うようになった。
悪戯が好きで、暗殺なんて簡単だと思っていた自分なんかよりもずっと、渚はかっこよかった。
「なんでもないよ」


「ねえ、抱いて?」
中に、頂戴。




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