Free! #答え合わせをしよう



俺はいい子でいたかった。この男のでは断じてないけれど一番、こいつが都合良かったから、ずっと離れられないでいる。
「遙はいい子だな。ずうっとずっといい子でいてくれよ。」
そう言って気付けば俺をはるかと馴れ馴れしく呼びながら、教師の面を被り続けているクズは俺の頭を撫ぜ、俺は恍惚とした表情を浮かべるのだった。
何度も、そう、何度も致した(犯された、が正しいかも知れない)が、俺が【嫌だ】とか、【ごめんなさい】だとか、心の底から謝り、拒絶反応を示したのはただ一度きり。


+++++


俺は真琴の無垢さが『きらい』だった。
それは羨望といっていい。とにかく俺はそんな真琴を穢してしまった事を、今も悔いている。
真琴の机の上で抱かれた事を鮮明に、それはそれは鮮明に、覚えてる。
あんなに善がったのも、精液を吐き出したのも、ただの一度きりで。
前提を根本から否定すれば、悔いているなんて嘘だとしたら、俺は望んでいたのかもしれない。自らの【せい】で真琴を穢す事を。
びしゃびしゃと腸液と精液、涙と涎、とにかく様々な体液をぶちまけた後、クズはそこを舐めろと言ってきた。
屈辱よりも何か別の感情を覚えた事は、ぼんやりとした記憶の中にいる。
「ん、ん、ん」
「七瀬は本当にいい子だな!」
「ッ?!あ、あ、あ、」
今度はバックで犯されて、夕焼けに染まる教室を、淫らなものへと変えていった。
「橘の机の上、ヨかったろ?お前、橘の事、大好きだもんな。」
「ん…」
好きだ。好きだ。好きだよ畜生。
…そうやって俺は一歩、また一歩と道を踏み外して行ったんだ。


+++++


閑話休題。
俺は何故今日もここに、クズと罵るような奴の前で痴態を晒しているんだろうか。
そんな事は俺が一番知りたい。誰か教えてくれないか。
「あ゛あ゛あ゛」
ぱじゅッと激しい粘ついた水音が聞こえる。
ストロークは激しく、もう意識が飛びそうなくらい、苦痛を覚えるくらいの快感が俺の首を絞め、酸素を奪って、殺しにくる。
行為の激しさが増していく度、やめないと、やめないと、と、何度も思った。
このままだと戻れなくなる。日常が壊れてしまう。と。
でも俺はやめられなかった。
苦痛を覚えても、泳げなくなっても、一体化できる【ナニカ】があればそれでいい。
…どうだっていい。
なんだって、いい。
…とにかくいまは。
「また、ほめてくれよ、【せんせい】」


『  七瀬はいい子だ  』

そう、それは俺にとっては麻薬だったから。
俺は『   』だから。
こんな『いい子』の俺を、誰か『叱って』くれよ。
なあ、そうだろう?
こんなの、だって、『正しい』だろう?
答え合わせしよう




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