Free! #いい子でいたい病



七瀬はいい子だからできるよな?
いい子になんてならなくていい。そもそも俺は【いい子】なんかじゃない。
真琴なんかがいい子だろう。あれはいい子の見本だと思う。
…本当は分かっている。何がこいつの言ういい子なのかくらい。
「ひ、…ッ…ン…ンン…」
声を押し殺して今日も俺は泣いている。情けないとは思うけれど、感情と関係なしに涙は溢れるものなのだと最近になって知った。痛みとか、快感とか、そんなもんで、簡単に泣くんだ、俺は。
「七瀬はホントにいい子だなあ…こうして先生のおちんちん、健気に締め付けてくる。本当に、やらしくていい子だ…ッ」
「あ、あああッ」
声を抑える事ができなくなって、だらだら精液を垂れ流しながら、俺は涎と涙に濡れた顔を惜しげなく先生に晒した。
恥ずかしいとか、悔しいとか考えるほどの余裕はなかった。とにかく絶え間なく与えられる快感の波に襲われて、俺は自我を保つ事に精一杯だった。
すっかり開発された前立腺は、愛撫を重ねられ、存在を顕著に主張している。先生のちんこがそこを刺激するのは容易いようで、何度も何度も執拗にそこを突いてくる。
「あ…ッ、あぐ………」
苦しいほどの性感に既に限界を迎えていた俺は意識を失ってしまう。
ホワイトアウトする寸前に感じたのは、じっとりと中に先生の精液が吐き出される感覚だった。


「ハルちゃん、帰らないの?」
ぼく、蘭と蓮の様子見に行くから先に帰るね。と言って去っていく真琴は案外薄情もんだと勝手に思う。
たった、と軽快なリズムを刻んでいるから、きっと可愛くて仕方ないんだろうと言う事とか、その所為で俺の変化に気付けていないんだろうと思うと、ため息が出る。
ああ、でも、嫌じゃない。
いい子だといわれながら、どう考えてもいけない事をしている背徳感とか、快感に溺れている時の心地よさは、まるで水の中にいるような不思議な感覚だと言う事とか。
嫌だとは欠片も思わなかった。
泳ぐ時間が削られる事くらいしか、困った事なんてなかった。
あんなに好きな水泳をおろそかにするほど、俺は先生にいい子だとほめられる事が気に入っていたんだろう。


「七瀬、今日はここでしよう」
先生はいたく楽しそうな顔をしながら真琴の机を指差した。
ここで、俺は先生と【いけない事】をする。
「や、やだ…」
初めて俺は拒否をした。
すると先生は困ったように、『七瀬はいい子だから、できるだろう?』と言った。
それがまるで暗示みたいに、俺を狂わせる。…気がついたら、頷いていた。
机は硬く、背中がいたかったけれど、我慢していたらまたいい子だといわれ、ちゅ、と軽くキスをされた。
それはすごくくすぐったかったけれど、心地よく俺の心に響いた。
もっと、言われたいから。もっと、撫でられたい、キスがしたい、抱きしめられたい、また、あの感覚を味わいたい。
気がつけば麻薬みたいに、その行為は俺の心を占拠していた。
がたがたと机が揺れている。
俺の身体はガクガクと揺すぶられ、果たして本当は何が揺れているのか分からなくなる。
「あ、ッ、せ、…せ…つよ、い…」
小学校の机は低く、先生の腰ほどまでしかなかったし、俺の身体ははみ出し、下半身は先生に抱えられていたから、机の上でしているという感覚は薄かった。
だけど、先生は妙に興奮した様子で、いつにも増して強く激しく俺を抱きしめたり、意地悪にしこりばかり突いたりしてきて、俺の身体は無茶な姿勢と言う事もあって悲鳴を上げる。
「どうだ、七瀬!橘の机のうえで俺に犯されるのはッ!」
「あ、あぁ…!ッい、うな!言わないで…!」
そうだ…ここは真琴の机の上で、俺はこんなにいけない子で、いけない事をしてて…。
「ごめん…ごめ、まこと…ごめ、こんな、こんなに、きもちい…っあああ!きもちいい!」
何度も真琴に謝りながら真琴の机を俺の精液で汚した。
ああ、こうして思い返しても酷い思い出だ。
でも、もっと酷いのは。
「先生、抱いてくれよ」
未だに続けている俺なんだろう。

いい子でいたい病。



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