Free! #ピース



どうしてこういう関係になってしまったのかはもう2人には分からなかった。けれどそれほどまでにこの行為にのめり込んだのは、きっと遙と真琴のピースがぴったりと「こういう」形になるように出来ていたからだろう、という事は、何となく分かっていた。
とにかく、2人は禁忌を犯してセックスに明け暮れている。今昔も変わらず。
「真琴…っ」
ぐちゅ、と粘っこい水音が風呂場に反響して、卑猥な事をしているんだと実感する。実際、真琴は遙の自身を大きな口を目一杯に使って奉仕していた。
むぐむぐと時折苦しそうなうめきとも取れない声が口から零れ、ついでに涎も垂れ落ちて行く。その感触は、少しこそばゆい。
「でほぅ?はう、っん、出していいよ。」
口を窄めて、搾り取るように口を動かす。出していいといわれ、追いつめられていた遙はすぐに精を吐き出してしまった。
「んぶっ…ん…んぁ…はるちゃんの、おいしい」
不器用な癖に、これだけは器用になったものだと遙は自分たちが過ごしてきた時間と、2人がしてきた事を思い返してみる。
思えば中学時代にセックスというものを知ってから2人はずっとセックスをしてきたのだから、このくらい慣れてもらった方がいいのだけれど。(なのにセックス自体には全く慣れてくれない、フェラはよくてなんでセックスはだめなんだ。)

遙が、遙が真琴をここまで厭らしくしたという事実を思い知る事が出来るから、こういう事に積極的な真琴も好きだ。
遙の前でだけ少し甘える真琴。遙の前でだけ厭らしく乱れる真琴。他にもたくさんの真琴がいるけれど、遙しか知らない真琴がいる事実は、知らず知らずのうちに遙を優越感に浸らせた。


「…はる」
熱に浮いた真琴は少し幼い。舌足らずな口調で続きを促す目は潤み、乳首はぷっくりと立ち上がり始めていた。
これから行う行為はそんな幼さを残す真琴の口調に全く似合っていない。だがそれがいい。
「なんだ?早く欲しいのか?」
腫れた乳首をぎゅっとつまみ、意地悪くそうささやいてやる。大げさなほど身体を震わせた真琴は恥ずかしそうに、うつむいた後、
「…うん」
と呟いた。

「ひっ…はる…っンァ……ッ!」
先ほどよりも粘着質な音。恥ずかしさから目を瞑っている真琴は、見えない分余計に聴覚を犯されている。
けれど目を開けたら、きっとぐっぷりと遙の指が埋まっているそこや、遙の顔、自分の情けなく勃起したそれが見えてしまう。それはどうしても無理で。真琴は自分の声をも響かせる、しかも明るい風呂場で致す事を許した自分を憎んだ。
「真琴、目。目開けろ」
遙はずるい。いつも余裕たっぷりで、意地悪で、その癖すごく慎重に、ガラス細工に触るみたいに真琴に触れてくる。
思えば凛と一悶着あったあの時期は少し荒っぽかったけれど、基本的に真琴がされていやな事をされた事はないし、大切にしてくれているのは分かった。
でもやっぱり意地悪だ。
「そんな、の…、むり…恥ずかし…」
「なんでだ。恥ずかしくなんてない。早く目開けろ」
むすっとしているのは見なくても分かるけれど、そうしてる今だってずっと嬲る手はそのままだ。
「んんぅ!…やだ!ハル…も、やだ…はるぅ…!いじわる、しないで…」
「いいから。…入れないぞ?」
抜かれた指の所為で孔が寂しい。早く欲しい。入れて、いつもみたいにぐちゃぐちゃにしてほしい。
「はる…欲しい…っ」
ローションと腸液で濡れていない方の手が、真琴の顔にそっと触れる。驚いて目を開ければ、珍しく感情を表に出した遙の顔が目の前にあって、そのままキスをされた。
ちゅ、と軽いリップノイズの後、遙の顔が遠くなって、少しずつぼやけていた顔が鮮明に見えるようになってきた。
「ん。よくできたな」
「ッ…!!!!」
どろり、と精が流れる。
腹を汚してしまうそれは、直接的な刺激と違い、酷く緩慢だ。
まともな声すら出せずに達した真琴は、キッと全く凄みのない顔(詳しく言うと、真っ赤で涙目でとろとろになった顔)で遙を睨みつけた。
「欲しかったんだろ?」
目を開けても、必死な真琴には遙の表情は読めない。どれだけ遙自身も恥ずかしいのか分かっているのか、と遙は思うけれど、真琴をとろとろにしているのも自分なのだから強く言えないでいる。
「ぅん…っ!ハル、欲しかった…!これ、欲しかったよぉ…!ふぁ…ぁ…ん、んんっ、はる、ちゅー、したい…」
ぽろぽろ涙を流しながら甘えるように遙の背に手を伸ばす。
正直寝そべった床のタイルが冷たいだろうが、遙を感じるので精一杯な真琴にそんな事を考える余裕はなかった。
「真琴…」
ねっとりとした口づけを送れば、真琴ははにかんだ笑顔を見せた。
「はるちゃん、好き…」
(俺も好きだ…真琴)
「ありがとぉ」
離したくない。離さない。こんなに執着するものが、水以外にあるという事を遙は知らなかった。
こうして言葉に出さなくても分かってくれる真琴。態度で示す遙。
ぴったりとはまったピースは外れないのだ。




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