Free! #扉の向こう



「ハル、ハルッ!!も、やめて、やだ、れん、やだぁっ!見ないで、蓮んっ!んぁあっ、は、る、ぅ…!」
突然の蓮の襲来に、真琴は今すぐに行為をやめてくれと懇願するが、遙はそんな事は知った事ではないとでもいうように一層強く腰を打ち付けた。
泣きながらいやがる真琴にムラッと来たとか、決して本人には言えないが、遙のペニスは萎える気配を見せなかったし、逆に興奮してしまったくらいで、全く見られたという事に危機感を覚えていなかった。
反対に真琴のそれは達したばかりというのもあるだろうが、硬度を失い、遙が腰を激しく打ち付けるたびにふるふると揺れている。
「は、るぅ!!!やだ、ほん、とに!や!あ、あ、ああっ!」
真琴の抵抗が強くなり、いよいよ本格的に泣き出した為に、しかたなしに一度動きを止めてやり、蓮へと向き直る。
勿論挿入はしたままだ。
「蓮、これは好きな人することなんだ。お前もあと何年もすれば好きな女とこういう事をするようになる。でも、人に見せるものじゃない。だから、今日見た事は忘れろ。いいな?」
「ふん。でも、お兄ちゃんは男だよ?」
「俺と真琴はいいんだ。」
「じゃあ、僕もお兄ちゃんとしたい!ハルちゃんがいいなら、僕もいいでしょ?」
これには流石の遙もピシリと固まってしまった。真琴はいうまでもない。
ねーいいでしょー!といって服を脱ぎ始めた蓮に、ようやく2人の時が止まったかのように動かなかった身体が動いた。
いろいろと考えを巡らせていた遙は、一呼吸置いた後に、とんでもない事を口にした。
「…今回だけだz「駄目!駄目に決まってるでしょ!なに言ってんのバカハル!!!そもそもいっつもうちではしちゃ駄目っていってるのに…ばか」
そんな、今回だけといっても、まだ幼い弟がおかしな方向にいかないとも限らない。(そんなことはもう見られてしまった時点で遅いのだが)
まだ性知識など持っていない蓮に、こんな間違った事を教えるわけにはいかない、と。
そもそも遙が泊まるたびにせがむからいけないのだ。押しと遙にはめっぽう弱い真琴はいつも負けてしまう。
確かに、いつかは家族にもカミングアウトしなければならないとは思っていたけれど…今ではないし、こんなものまで見せる気はなかった。
だから、絶対に駄目だ。
「ひ、あっ?!ハル、なにし、てっ!!」
間抜けにもずっとつながったままだった身体を、急に揺さぶられ、恥ずかしい声が上がってしまう。
その感覚と、声を上げてしまった羞恥に意識がいっている隙に、遙は意外なほどに強い力で真琴を抱き上げ、いとも簡単にバックの体制から正常位にしてしまった。
先ほどまでは枕に顔を押し付けていられたが、そうはいかない。
真琴は遙と向き合うこの体位が苦手だった。更に視界の端には蓮も映り込んでいる。
「…う、うぅ…蓮、お願いだから、見ないで…も、やだ…忘れて…」
早くここから出て行ってほしい。けれど、きっと蓮はいう事を聞かないだろうし、今起きた事を話してしまうだろう。
それは困る。とても困る。
まだ心の準備ができていないし、今遙と離ればなれになんてなりたくない。
となると、蓮が納得するまで説得を続けるか、蓮のしたいようにさせてやるかしか、選択肢はないのだ。
だが、蓮は真琴に似て案外頑固だ。それに、遙はもう蓮の好きにさせてやろうなどとトチ狂った事をいい、行為を続けようとしている。
遙が行為を続ける限りは蓮は諦めてくれないだろう…。
ここまで考えて、真琴はもう考える事をやめた。
「…蓮、今日だけだからな?誰にもいうなよ?」
おいで、と手招きをして、ベッドに上がらせる。
ぼんやりとした頭で、
もう、うちではしない。絶対、しない。
頬に触れた小さな手を感じながら、真琴はそう心に誓った。



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