Free! #秘密の扉



…まただ、また、聞こえる。

「…ぁ、ハル駄目っ、だ、ってば…!」
ハルちゃんとお兄ちゃん、いつもなにしてるの?
駄目ってお兄ちゃんが泣きそうな声でハルちゃんを止めてる。お兄ちゃんを泣かせたら、駄目だ。いくらハルちゃんでも許さない。
…そう思うのに、潜められた声とか、泣きそうで、やめてっていってるのに嬉しそうな声で。
何をしてるの?ねえ、僕にも教えてよ。
「ぁうう…ッはる…ぁ、ぁん!」
いつものお兄ちゃんからは想像もつかないくらい、弱々しくて、縋るような声。
…様子を見て、お兄ちゃんに意地悪してたら止めよう。そうだ、そうしよう。


それは小さな好奇心で、そのときはこんな事になるなんて思ってなくて。

「ま、こと…っ、お前、そんなに締め、るな…!」
扉をそっと、本当に慎重に、そっと開ける。
カチャ、と小さな音を立ててしまい、僕はしまった、と思ったけれど、二人には聞こえていないようだった。
扉を開けると、二人は僕に背中を向けるような形で、なぜか裸ん坊だった。
しかも、ハルちゃんはお兄ちゃんに覆い被さって、腰を動かしていた。
(見てはいけないものを見てしまった)
本能的にそう思った。
ドアを閉めて、何事もなかったように部屋に戻って、寝て、起きたら忘れなくちゃ。
そう思うのに、身体は時が止まったようにぴくりとも動かなかった。
肌のぶつかり合う音と、お兄ちゃんの声が大きくなって、ハルちゃんの息も荒くなっていく。
見ちゃ駄目だ、駄目だって思っても目も閉じられない。
「うぁぁっ!あ、あっ!!だ、だめ、も、駄目ぇ…はる、はるちゃ、ハルちゃんっ!」
ひときわ大きくお兄ちゃんが叫んで、上半身を支えていた腕がガクッと崩れる。
それにかまう様子もなくハルちゃんは動き続けてて、お兄ちゃんは小刻みに震えてる。
…やっぱり、駄目だよ。
「ハルちゃん、駄目…!」
いままで、身動き一つ取れなかった身体が急に動いて、勝手な事を口走っていた。
「あ、あ、あ、あ…れん…、みて、た、の…?」
お兄ちゃんの涙と涎でぐしゃぐしゃの真っ赤な顔が、こっちを見てる。僕は、僕は…



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