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「は、ぁ…っ、はる…ぅ…ぁ…あっ…」
まただ。また、目を伏せて、こっちを見ないで。
恥ずかしがっているのとは違う何かのせいで声を我慢する。
縋るようにぎゅっとシーツをつかむ手は、力の籠り過ぎで白くなってしまっていて、きっと真琴は遙に縋りたくて仕方ないのだろう、と思う。
ならば何故そうしないのか、とも。
いくらでも縋っていいし、頼ってほしい。多少の面倒も、厭わないのに。
普段は突き放してしまう事が多いけれど、別にそうしたくてしている訳ではなく、ただ単に七瀬遙という人間が不器用極まりなく、そして橘真琴という人間がそれを優しく包み込む包容力を持っているから、甘えてしまっているだけで。
「まこと、…まことっ」
普段ならばふてくされるものの、放っておいた方がいいだろうと自分勝手に動き始めてしまうのだが、今回ばかりは、いままでにたまっていた疑問とともに真琴の思っている事を聞き出さなくてはならないと思った。
遙も真琴も、数えるのも面倒なほど長い期間一緒に居るけれど、結局は他人なのだから、考えている事は全部は分からない。でも、分かり合いたいから、こうして面倒も厭わずに男である真琴を抱くのだし、心配をするのだ。
他人だなんて言いたくない。
遙の真琴だ。所持ではなく、人生を共にするパートナーだ。
「ハル……動い、て…っ」
うねうねと蠢く内壁が、早く孕まない腹に種を植え付けろと言ってくる。
相変わらず真琴を前にすると堪え性のない自身が、早く出したいと泣いている。
ガツガツと穿ってやりたい。吐き出したい。
けれど。
「い、やだ…っ、真琴、俺に何か隠してるだろ、っ全部言うまで動かない…」
びくりと真琴の身体が竦んだのが視覚でも感覚でも分かった。
ガバッと肩口に置かれていた顔を上げて、新緑の瞳と搗ち合う。
ついに気付かれた、というのと、気付いてくれた、というのが混じり合った顔をしながら涙を浮かべた顔がしっかりと遙を見ていた。
濡れた瞳、真琴の目は綺麗だ。
「ハ、…ぅ…ごめん、ハル…お願い、っ、捨てないで…俺の事、ずっと離さないで…おねが…」
そう言うと逃げるように綺麗な目を隠してしまった。
(泣い、て…いる?)
そういえばゆらゆらとその瞳は揺れていた、涙が目一杯にたまっていた。
今、真琴はなんと言った?
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