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おい!お前の幼馴染に似てねえか?これ。
そういって渡されたのは、一枚のDVDだった。
「…真琴っ!?いや、他人のそら似…だろ…?」
それはどぎつい煽り文句と肌色が目に付く、所謂アダルトビデオだった。
他人のそら似と信じたいが、明らかに水泳もの。名前も、橘、真琴。
まさか本人に聞くわけにもいかない。声を聞けば別人だと分かるだろうと、DVDをデッキにセットし、再生ボタンを押す。
イメージシーンから始まったそれは、真琴(?)が力強く泳いでいる所から始まった。
(…真琴の、泳ぎ方…)
もう、確信に近かった。けれど、信じていた、ピュアなイメージの強い真琴がまさかこんなものに出るなんて、あり得ないと。僅かな希望を抱いている間に、イメージシーンは真琴(?)がカメラに向かって自己紹介をする所まで進んだ。
『た、ちばな、真琴、です…ずっと水泳をやってて、専門はバックです。』
いつもの笑顔ではにかみながら、いつもの声で、いつもの真琴。もう希望はない。
絶句する遙など知った事かと言わんばかりに、ビデオはどんどん進む。
『へぇ〜、ナニ?セックスもバックが好きとか?ああ、まことちゃん、キンチョーしなくていいんだよぉ?』
そんなセクハラ紛いの事を言う男優に顔を赤らめ、更に萎縮する真琴。
(…嘘だろ…?)
けれどAVでやる事など一つしかない。行為に向け、真琴が身にまとって居た水着をゆっくりとずりおろしていく。殊更、ゆっくり、ゆっくりと。
ゴクリと思わず唾を飲み込んだ。
ふるふると震えながら、緊張を隠せない真琴に、まさか性的倒錯を覚えているのか?
『おお〜。引き締まってて、イイカラダしてんねー。』
あんなに見慣れた真琴の身体から、水着を取り除いただけなのに。
『そん、なに…見な…で…んぅ…っ』
「…っ!」
知らない男と、見知った真琴のキスシーン。耐えられないのに、その蕩けた顔が、甘い吐息が、停止ボタンを押そうとする指を、止める。
『ふぁ…ん…んぁ…、ぁ、は、おっきぃ…ので、後ろ、掻き回して…ぇ…んんっ!ひ、ぐ、あぁっん!』
真琴の身体に男の腕が這う。性急に男を求めるその様は、もう、「あの」真琴と同一人物とは思えなかった。
男の男根に、いつも遙達と談笑する唇が、触れている。貪欲に精を求めて淫語を吐き出している。
「…まことッ!まこ…っ?!俺…なに、して…」
気が付けば自らの情けなく勃ち上がったそれに手を這わしていた。
もう、隠しようもない。真琴を性的な目で見てしまっている自分を自覚してしまった。
不意に男が真琴を立たせ、そのまま壁に手をつかせ、後ろを向かせる。それでも健気に男の男根への愛撫を止めようとしない真琴がへラリと柔らかく微笑んでカメラを見つめた所で、ぐんっと質量を増す自身。
だが、あろう事かそんな健気な真琴を、
『まことちゃん、感じやすいね〜。可愛いよ。分かるかなぁ?ココ、俺の欲しい欲しいってひくひくして指離さねえの。やらし〜…っオラ!ド淫乱!痛えのも、好きだろ?』
などと言って淫乱とケツを叩きながら罵った。
ベシリと尻を叩かれた反射で、二本の指を咥えこむ穴が、キュウッと絞まるのが、見て取れた。
『ひゃあッ!?あぁんっんあっ!そ、んなこと、な、っァ!やあああんっ!』
それでもその事実を否定し、身体中を火照らせ、涙と涎でぐちゃぐちゃの蕩けた顔を横に振る真琴。本気でかかれば、こんな男、振り払えるだろ…?真琴。
遙は何でも知っているつもりでいた。
だが、こんな表情を、見たことがあったか。
どう考えても、痛みとしか取れない行為で快感を拾い、嫌と言った割にはその顔は恍惚、としかいいようのない、だらしのない顔を映していた。
『ん〜?じゃあ、やめよっか』
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