0916 07:29

抱きたいとか抱かれたいとか、そんな事は考えこともなかった。
そもそも付き合っているという事実が既に周りから見ても自分から見ても奇跡的で、おかしいからだ。
付き合えた、それだけで満足。
そんな感じだと思う。
キスもしていないのかと、テツにはどやされたが、彼女がいた事もない俺にとってはしないのが当たり前で、しかもそもそも黄瀬とはダチだった訳で。
付き合ったいまもする事は変わらない。
1on1して、マジバ行って、たまに泊まってマイちゃんのDVDを見る。
そんな日々で。
それでいいんだと思ってた。
というか、そうでなくては、黄瀬とは一生一緒に居れない気がしてた。


怖かった。


「青峰っちは俺とシたくないの?」
「……………は?」
もぐもぐとハンバーガーを食っていたところで、黄瀬が妙に神妙な面持ちで変な事を言い出した。
前述した通り、俺はそんな境地には達していなくて、黄瀬と居れれば、それだけで満足で。
(もちろん不安もあるけれど)
「俺は、アンタとシたい。抱きたい。キスだってしたい。でも、青峰っちは、そんな素振り見せないんだもん。不安で、不安で…」
「んなこと言われたって俺だってわかんねーんだよ…!だって、お前、俺と付き合うのなんて、一生じゃない。俺は、一生付き合いたい。……俺ばっかりこんなの、嫌だ」
「…アンタ、話ちゃんと聞いてた?俺は、アンタが、青峰っちが、大好きなの。大切なの。分かる?一生離したりしないっスよ」
「じゃあ……キスだけなら、してやってもいい」
「…俺が『する』んスよ」
ニンマリ笑う黄瀬は悔しいけど男前で。
あ、やっぱり俺、こいつが好きだ。
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