暖炉前の机で眠り込んでいるベルイットを見つけたダムディは、
少し慌てた様子で火を弱めた後、
机に近付いて困った様子で微笑しながら呟いた。
「あぁ、またこんな所で眠って…」
案の定、雪で出来た体には暖炉の火は強過ぎた様で、
白い髪や頬から零れ落ちた雫が、
炎に照らされて明るく煌いている。
「融けて無くなってしまうかもしれませんよ」
小さな溜息を吐きながらベルイットの頭を撫でると、
僅かに安らかな寝息が上がった。
それを見たダムディが愛しげに目を伏せながら手を離すと、
弱まっているとは言え炎の力は大きいのか、
指先から、しとり、と雫が滴り落ちて、
机上に出来た水溜りに波紋を浮かべた。
「……ああ、でも、もし融け合って、
 一つになる事が出来れば、幸せかもしれませんね」
その水溜りに、そっと指先を浸しながら、
目を閉じて呟き、小さく笑った後、
今度こそ暖炉の火を消し、
ベルイットの体に柔らかな毛布をゆっくりと掛けてやる。
灯りの無い部屋の中、月の光を浴びて白銀の髪が煌く。
ダムディは、その髪を優しく一房持ち上げるとキスを落とした。
掌からさらさらと髪の毛が零れ落ち、眩しく光る。
「ゆっくりお休みなさい、私の愛しい子」
そう言って再び軽く頭を撫で、
眠っているベルイットを起こさない様に、
静かな足取りでダムディが去って行った少し後、
ふふっ、と寝言とも笑い声ともつかない小さな声が上がった。

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