17歳
「それじゃあロマンがない」

ある日の合同訓練終わった後、防衛任務までは時間があるが、家に帰るのには微妙だったので、個人戦のブースへ向かう。待ち合わせなんてしてなくても、ここくれば大抵誰かいる。隠岐も新之助もランク戦に備えて作戦会議とか言ってていないけど、まぁ他の誰かがいるでしょう。

予想通り、部屋に入ってすぐのソファに体を預けてでっかいモニターを眺める見知った顔を見つけたので、側に寄ってった。

「出水ー」
「ん?あ、なまえか」

気の無い返事をする出水に促されて、隣に座る。

「お疲れー」
「何、お前個人戦でもすんの?」
「いや暇なだけ」

出水は誰かと個人戦?と訊くと、ん、と顎でとあるブースを示す。すると、そのブースから米屋が出てきた。

「よ!なまえじゃん」
「お、米屋」

米屋がこっちに走り寄って来たので立ち上がって、いえーい!とハイタッチする。出水がお前ら毎回あほやってんなとぼやいた。

「なまえも個人ランク戦する?」
「それおれも聞いた」
「んー、しようかなぁ」
「なまえ、スナイパーだろ」
「メテオラの方で」
「個人でランク戦するほど使いこなせてねぇじゃん」
「つかなんでスナイパーなのにメテオラ?」
「スナイパーって外すと狙われるじゃん。で、私よく外すから、狙われたときの時間稼ぎ」
「最初はサラマンダーが良いとか言ってたんだけどさぁ、こいつ、センス無ぇーんだよ」
「いやいや、出水に比べたらみんなセンス無いからね」
「サラマンダーって何と何だっけ?」
「メテオラとハウンド」
「合成するのに時間かかり過ぎて、時間稼ぎの意味無いから、出水がいっそメテオラW使いで良いじゃんって」
「銃型トリガーじゃダメなん?あれって合成弾も出来るんだよな?」
「「それじゃあロマンが無い」」
「んなとこハモらなくても」

ギャハハと笑う米屋は私たちの正面に座った。話すモードに入った二人は休憩を兼ねて私と話してくれるらしい。
私はそんな二人に甘えて、任務までの時間をここで潰すことにした。


prev next
- ナノ -