17歳
「嫌って言うかさ」

スナイパーの訓練が終わって、隠岐を生駒隊の作戦室まで連れて行ったが、流石にみんな帰ったみたいだった。

「なまえこの後何してるん?」
「新之助が作戦会議中だから、終わるの待って一緒に帰るー」
「なんや、すぐ帰るんやったら一緒に帰ろ思たのに」

とりあえず新之助と待ち合わせのラウンジまで2人で並んで歩く。

「えー、じゃあ一緒に新之助待ってる?」
「いやええよ、そんなら帰るわ」
「…2人って仲悪かったっけ?」
「仲ええ方やと思うけど、まぁなまえがおるとな…」
「えっ、なに」

なんかすごい辛そうな顔をするから何事かと思えば。

「なまえとくっ付いてると、辻ちゃんめっちゃ睨んでくんねん」

拗ねたように呟く隠岐に、思わずため息が出た。

「それさぁ…、どう考えても隠岐が悪いから」
「なんでや〜」
「なんでやじゃない!ほら!今も!」

文句を言いながら、横から腰に抱きついてくる隠岐。

「ええやんかぁ。なまえだって嫌やないやろ?」
「嫌って言うかさぁ…」

別に嫌では無いけど、歩きづらくて煩わしい。でもそれ言うと隠岐は拗ねるし、めんどくさいのでどうしようかと思っていると。

「何してるの…」

「あ、新之助」
「あ、辻ちゃん」

予定より会議が早く終わったらしい新之助が廊下の角から現れた。

「いつも言ってるけど、隠岐、近い」
「あー、辻ちゃん。ちゃうねん、これはなまえが」
「ちょっと!何ひとの所為にしようとしてんの!」
「だって辻ちゃん、なまえには甘いからいけるんちゃうかと思って」
「大丈夫じゃないから、離れて」

そう言って抱きついていた隠岐の手を外す新之助。そのまま、隠岐、私、新之助で並んだ。ここで間に入らない感じ、別に新之助もそこまで隠岐と私が仲良くしてることに関して目くじら立ててるわけじゃないんだよねぇ。

「今日は3人で帰ろ。隠岐もクレープ食べる?」
「駅前の?それで2人で帰ろ言うてたんか」
「そうそう。新之助も良いよね?」
「うん。いいよ」
「よし、じゃあ隠岐のおごりだー!」
「おー!って、なんでやねん!」
「新之助と私のデートの邪魔したんだから、それくらい、ねぇ?」
「別にデートじゃないし。俺は自分で払う」
「まぁ冗談だから」
「いや、辻ちゃん、ここはおれに払わしてくれや」
「隠岐はノリ良すぎでしょ」


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