17歳
「え?なんで?」

「なまえ、訓練どうやった?」
「うっわ〜…。それ、隠岐がきく?」

訓練後、隣のブースから出て来た隠岐は白々しく成果を問う。今回の訓練は捕捉&掩蔽訓練で、簡単に言うと90分間で何人撃てて何人に撃たれたかーってやつなんだけど、同じ人は1回しか撃てない事になっている。それなのに。

「1回目以降は無効なのわかってんのにバンバン撃ってきやがって…!」
「なまえ見っけたで〜って合図やん」
「だからって無効弾撃つ?つか女子は撃ちにくいとか言ってたらしいじゃん」
「女子言うか、かわいい子なー。なまえは撃ってもええかなーって」
「はいはい、どうせカワイくないですー。バンバン撃ちたくなる顔してますー」
「そこまで言うてへんやん〜」
「言っては無くても行動がそうじゃん。あーあ、イコさんだったらカワイイって言ってくれんのになー」
「イコさんは誰にでも言うやんか」
「ほんとイコさん大好き!そう言っといて!」
「え…嫌やわ〜」
「え?なんで?」
「突然、イコさん大好き!なんて言うたら、おれがイコさんに告ってるみたいになるやん」
「…そこは臨機応変に行こうよ…、私が言ってたって言ってよ…」
「それはそれで面倒やから丁重にお断りしとくわ」
「お断るなし!」
「ほな、しゃーない。よしよししたるわ〜」
「う〜〜、そんなことで誤魔化されないんだから…!」
「いや結構誤魔化されてんで。ニヤニヤしとるし」

隠岐は普段から私に対してのボディタッチが多い。ウザったいときの方が多いけど、こうやって頭ポンポンされたりするのは、割と好きだ。でもそれを言ったら調子乗るから絶対に言わない。…隠岐の反応からバレてる気もするけど。

「ほんまあほやなぁ…」

ぽつり、隠岐が洩らした言葉は、ひとりごとだと思うので聞こえてないふりをした。


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