17歳
「その方が面白いかと思って」

そうして遂に隠岐も個人戦ブースにやって来てしまった。

「なまえー」
「隠岐…」
「ん?みんな揃ってどないしたん?」

特に説明してなかったから当たり前だけど、犬飼先輩、米屋、出水と新之助もいることに驚く隠岐。

「実はかくかくしかじかで…」
「なるほどー…ってわかるかい!」
「いやぁ実はね、」

説明が面倒で適当に誤魔化すと、犬飼先輩が代わりに説明してくれた。

「ああー、それですかぁ」
「隠岐は聞いてたの?」
「断片的にしか聞いてないけど、その後イコさんに聞いたから…。でも、どっから説明したらええんやろ…」
「最初からで良いぜ」

とりあえず、6人でベンチソファーに並んで座る。

「あれな、イコさんの所為なんですわ」

そして、隠岐の話に耳を傾けた。

「イコさんと二宮さんが鉢合わせした時に、マリオがイコさんに時間稼ぎせぇ言うたら、イコさんが雑談始めてな?」
「二宮さんに雑談?イコさん相変わらずだなぁ!」
「イコさん曰く、二宮さんに対しては万策尽きたから、新しいことしよ思たらしいんやけど」
「それで雑談って…」
「で、イコさん、二宮さんが焼き肉好きみたいな情報仕入れてたから、食堂の新メニューの焼き肉カレー美味いですよねみたいなこと言うたらしい」

そこまで話を聞いた二宮隊の2人は何となく察したのか、ああ、とこぼした。

「犬飼先輩と辻ちゃんはどうなったかわかった?」
「何となくだけど…」
「まぁ多分だからさ。隠岐くん、続けて」
「ほな。そしたら、二宮さんがあれは邪道だって怒り出して、言い争いみたいになってん」

犬飼先輩と新之助は、やっぱり、と言って顔を見合わせてる。ところで。

「ねぇ、言い争いになった理由はわかった。で、私は?」
「そうだよ、隠岐。なまえが原因て話は?」
「知らん」
「えー?ちょっと犬飼先輩?」
「いや俺も断片的にしか聞いてないけど、絶対なまえちゃんの名前出てたって!」
「あー、多分あれちゃう?」
「何?」
「なまえも焼き肉カレー美味い言うてたから、イコさんが引き合いに出したんちゃう?」
「え、じゃあ、何?巻き込み事故?」
「そう言うことやない?」
「てか犬飼先輩が悪いんじゃないですか〜!」
「その方が面白いかと思って」

ねえ?なんて犬飼先輩が周りを見ると、米屋と出水が、うんうんとうなづいた。新之助はため息をついている。

「あ〜!なんでやねん!」
「ちゃうで〜、なまえ。そういうときは、どないやねん、や」
「ぶっちゃけどっちでもいい…。犬飼先輩、この話、米屋以外にしてないですよね?」
「あはは」
「いや、あははじゃないですよー!」


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