久しぶりに被った休みにも関わらず、私たちは侑のアパートでまったりしてた。それも、侑入ったバレー部が結構忙しくて、休みにわざわざ出掛けて疲れさせるのも可哀想かなと思うからだ。侑は私に気を使って出掛ける提案をしてくれることもあるが、基本的に引きこもり体質な私は、こんな休日だって満足している。だから今日も、昨日大学の帰りに2人で借りたDVDを適当に流しながら、それをちゃんと観るでもなくダラダラと休みを浪費していた。

「なぁ、なまえちゃん」

出た。侑のちゃん付け呼び。

普段呼び捨ての侑が私の名前にちゃんを付ける時は、お願い事をしたいときか、謝りたい事があるときだ。どっちにしろ、私にとってはろくな話ではない。

私は明らかに怪訝そうな顔で侑に向き合う。

「どないな顔しとんねん」
「なに?」
「あのな、最近、お互い忙しいやん?」
「うん」
「前ほど一緒におられへんやろ?」
「そうだね」
「だからな、あのな…」

結論を言わずにモジモジしだした侑に「怒らないからはっきり言っていいよ」と言うと、侑の口から出た言葉は私の予想斜め上だった。

「一緒に住まへん?」
「え?」

でも、驚きはしたものの、その提案は私にとっても良い話だった。待ち合わせとか考えなくて良いし。

だから、軽い気持ちで返事をした。

「いいよ」
「ほんま?」

侑は私よりずっと重大な話だと思っていたらしく、安堵の溜息を吐いた。

「めんどいとか言って反対されると思っとったわ」
「まぁ、私だって侑といれる時間が長い方が嬉しいし…」

私が快諾したことによって機嫌をよくしたらしい侑は、前から準備してたのか、不動産屋のパンフレットやら家具のカタログやら出してきた。

「早速決めような!」
「え、早…」
「早よ決めんと面倒がるやろ、なまえ」
「うう…、よくわかっていらっしゃる…」

こうして、侑と私の同棲生活が始まったのだった。


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