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※原作数年後



朝起きたら、まず、うがいをしてコップ一杯の水を飲む。そして、それと同じように習慣の一部として、轟焦凍のことを考える。

高校生のときにほんの僅かな間だけ付き合っていて、もう別れてから何年も経つけれど、朝のそれだけは、その頃から続くずっと変えられない習慣だった。

別に特別なことを考えている訳ではない。
今日も忙しいのかな?とか、そんなことを、少し。

彼の存在は今も気にはなっていて、彼の活躍が新聞やネットニュースに載るたびに、チェックは欠かせなかった。
けれど、スクラップにしたりスクショを撮ったりだとか、そういう記録に残すことはしない。あの頃の思い出と、記憶に残るだけの情報で充分だ。

それは、わかりやすい未練の残骸みたいな習慣だ。

あの頃は本当に楽しかったと、笑い話に出来るのはいつになるんだろうか。

きっと轟くんはそんな気持ちにはならないだろうと思うと、彼の活躍は輝かしくて、少し寂しかった。


私の朝だけ、当時に置き去りで。轟くんを中心に世界はずっと回ってる。

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