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それはそれで楽しそうだけど
放課後、部活に行った友達たちを見送った後、下駄箱に向かうと、ちょうど侑と治がいた。多分バレー部の活動をしてる別棟の体育館に向かうところだろう。 「お疲れー」と声をかけると、2人同時にこっちを見る。こういうちょっとした仕草がそっくりで、双子なんだなーと勝手に再認識した。普段は全然似てないんだけどなぁ…。そう思っていると、珍しく侑より治が先に話しかけてきた。 「昼休み、俺らの話してたやろ」 「えっ、聞こえてた？」 「なまえの友達、だんだん声でかなってんもん」 「まぁ悪口じゃないから許して」 「別にええんやけどさぁ」 昼休みのことを話す治が「何話してたの」と続けて言い切る前に、被せて侑が「サムずるいわ〜〜！」と言った。 「何が」 「俺もなまえと同じクラスがええ！」 「去年同じやったろ」 「去年は去年やん」 と、口を尖らせる侑。いや、まず、そもそも。 「私、侑と同じクラス嫌なんだけど」 「えっ、なんでや」 「だって侑、無駄絡みしてくるから」 「ツム、振られとう。ださっ」 「振られてへんわ！つか無駄って何やねん」 「用も無いのに話しかけないでって言ったじゃん。女子の視線が怖い」 「え〜〜」 「言いたくないけど、モテんだから気にしてよ、言いたくないけど」 「どんだけ言い渋んねん」 「だって何かムカつく」 「おっ、ヤキモチ妬いてくれとんの？」 「はぁ？」 「反応冷たっ」 「冗談やん〜。なまえが距離とってきて寂しいわ〜」 距離とってんのはそっちじゃん。と言いたいけど、別に2人とも有名人になるためにバレー頑張ってる訳じゃないからなぁ。 私だって、前みたいに普通に2人と話したい。でも我が身も可愛い。だから余計な問題は出来るだけ避けているだけだ。 本当なら、今こうして話してることもあんまり良くないんだろうなぁ。 それを2人に伝えると、治は「こんくらいええやろ」と軽い。侑は腕を組んで何やら考えてる。 「ツム？」 「…なぁ、やっぱなまえバレー部のマネージャーせーへん？」 「え、やだよ」 「即答かい」 「だって今更だし。別に足りないわけじゃないでしよ？」 「マネなら話してても大丈夫やろーて思たんやけど」 「あー、それは女子を舐めてる」 それにマネージャーになったら侑と治を贔屓して応援出来なくなっちゃうし。そう、独り言のつもりで呟いたが、2人には聞こえてたみたいで。 「なまえかわええとこあんなぁ」 「なんやサム、今頃気付いたん？」 「あのねぇ、2人で頭撫でないでよ。髪ボッサボサじゃん」 「昨日みたいにちゅうの方がええ？」 「えっ、何昨日のちゅうって」 「してないしてない」 「忘れたんなら思い出させてやろか〜？」 「鼻にでしょ！忘れてないって」 「てか部活遅刻するよ？」と言うと2人はハッとして玄関に向かう。私も下駄箱から外履きの靴を出しながら、そんな2人を見送った。 「じゃあ頑張ってね、2人とも」 「ほななー」 「気ぃ付けて帰れよ」 |