バッドラ
BAD LOVE ROMANCE


「侑、今日言われたことの答えだけど」
「え?早ない?」
「ごちゃごちゃ考えてもしょうがないなと思って」
「いや、ちょっと待って」

思い立ったが吉日と、治に家に帰るついでに、宮家に帰っていた侑を呼び出してもらった。
食べかけの夕飯を放置して来たと言う侑に要件を伝える。
まさか保留にした今日、返事をするとは思っていなかったであろう侑は、私のセリフに急にソワソワしだした。
ちょっとだけ申し訳なくも思うが、侑だって私にとっては結構突然の告白だった。まさに青天の霹靂。だからとは言わないけど、これくらいの唐突さは許して。

しかし、いざ、侑を目の前にすると、考えていた言葉も吹っ飛びそうなほど緊張する。…余裕に見えていた侑も、こんな気持ちだったんだろうか。

さっき自分で言った事だけど、ごちゃごちゃ考えても仕方ない。深呼吸一つ、未だに少し混乱してるっぽい侑に向き合う。そして。

「こんな私で良かったら付き合ってください」
「…は?」

侑は私の言葉が予想外だったのか、珍しく間抜けな声をあげる。

「ちょっと、は?じゃないよ」
「ほんま?」

まぁ私の今までの行動から考えたら、侑が信じられないのは当たり前かもしれない。
でもさ、侑だからこそ、わかってると思うが、私は侑に嘘は言わないよ。

「こんな恥ずかしいセリフ、冗談で言えないから」

そう言って、恥ずかしさのあまり思わず伏せていた目を侑の方に向ける。

「え、めっちゃ嬉しい」
「ちょ、侑、」

自体を飲み込めたらしい侑にいきなり抱きつかれて、息が辛くなる。

「く、苦しいって…」
「すまんな、でも、そんくらい嬉しいねん」

多分、きつく抱きしめられてるからだけじゃなくて、通じ合った気持ちに私の胸がいっぱいなのもあるだろう。
侑の気持ちに応えたくなって、恐る恐る私も侑の背中に手を回す。侑はその行動に驚いたのか、少しビクッとしたけど、私の首元で楽しそうに笑った。

「なんや、積極的やん」

そう言って、侑はそっと唇を私に重ねた。ごく自然に。

そう、だってそれは、今度こそは、冗談で笑い飛ばすようなものだったり、強引に想いを伝えるようなものじゃなくて、通じ合った想いを喜ぶような優しいキス。
3度目の正直とはこういう時に言うのかな、なんて。

思った以上に幸せを感じて、私は自分で考えていた以上に侑のこと好きだったみたいだ。それこそ、そんなこと恥ずかしくて絶対言えないけど。


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