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※昔のサイトで1話だけ書いてたもの。
出水と米屋とクラスメイト。
ボーダーらしい。




いつも米屋と出水と私、3人で連んでいた。だけど、誰にも言ったことはなかったけど、実は出水と2人の時間も好きだった。

なんと、それは出水も同じで、…でも、少し、違っていた。



米屋と出水と仲良くなったのは、高2のとき、同じクラスになってからだった。

ボーダーの提携してる学校なだけあって、クラスメイトにボーダー隊員がいることは決して珍しいことではなかったけど、それは私と同じB級やC級の訓練生の話であって。やっぱり精鋭のA級ともなると、周囲は割と好奇の目で彼らを見ていた。なんだかんだ言って私も、表面上では「あー同じクラスにA級いるんだー、へー」みたいな態度をとっていたけど、内心、そんな凄い人達と同じクラスか!とワクワクしてた。あわよくば仲良く出来ればいいなぁ、なんて。まさかこんなに仲良くなるとは思っていなかった。仲良くなってみれば、なんてことない、普通の高校生だった。今となっては当たり前なんだけどね。この頃は、憧れとか、尊敬とか、そんな気持ちが強かったから。

夏になる頃には、放課後や休日でボーダー任務の無い日は、大抵米屋んちでグダグダするのが3人の中で当たり前で。米屋が部屋を片付けるために先に帰って、出水と私でDVD借りたり、お菓子買ったりしてから米屋んちに向かうのが定番の流れだった。

米屋んちに行くまでの間、くだらない話をして、米屋に内緒で2人でアイス食べたりして。わざとゆっくり歩いたり、ちょっとだけ遠回りしたり。私はそれだけで充分だった。そんな関係が、いつまでも続けば良いと思っていたのに。


まさかの出水からの告白に、それが揺らいだのはいつもの休日だった。


「俺、お前のことが好きだ」


太陽の日差しがじんわりと肌を焼く。日焼け止め、もっと厚く塗ればよかったかなぁとか考えながら、さっきコンビニで買ったアイスを齧りながら、出水と並んで歩いていた時だ。いつもより口数少ない出水に「なんかあった?」ときいたら、急に立ち止まり、真剣な顔をする。一歩先にいて、顔だけ振り返った私の目を見て、そんなセリフだ。始め、その言葉が上手く飲み込めなくて、出水の目を見るのがなんだか怖くて、溶けたアイスの青い雫が腕を伝って汗と混じりながら地面に吸い込まれるのを見ていた。

スキダ、すきだ、好き、だ……やっぱ、そういうことだよね。

その言葉の意味がわからないくらい馬鹿だったらよかったのに。いっそ、いつものように冗談だと私を馬鹿にして笑い飛ばして欲しかった。

でも、そう思ったのは、もう冗談として流すには難しいくらいの沈黙が流れた後だった。


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