そこには当然のように(てか実際そうなんだけど)あたしの元家があった。なんていうか、変わんない。色あせてた記憶が一気に写真になった感じ。
変わったことといえば少し汚くなったトコロ。
「何を呆けている」
「…別に」
お前はどこぞのエリカ様か!みたいなツッコミをする気力も無い。チャイムを押す手が異様に震えたがなんとか呼び出しができた。
鼓動がありえんくらい早く打つ。
「はい、どちら様でしょうか」
「おいババア、あんたよくもあたしの戸籍消してくれたな。ん?」
「戸籍って…………、……遥希なの!?」
「遅いわばーか。オッサンはどこオッサン。殴んないと気がすまないわ」
「ちょっとあなた今まで勝手に行方眩ましておいて」
「はあ?出てけっつったのそっちじゃん。勝手に上がるから。いいよ入って」
「随分と狭い玄関だな」
威風堂々と人様の家に上がりこんできたギルガメッシュに母の目が点になる。
てかちょっと老けたね。化粧濃いし。
「何の騒ぎだ」
「おーおーよくもあたしの戸籍消してくれたね!お陰でこっちは就活出来ないんだけど!?おい!」
「……遥希か。数年経っても全く変わらんな、その生意気な口は」
「環境も環境だったんでね」
「そこにいる男の所にでも転がり込んでたのか?類は友を呼ぶとよくいったもの――がっ!」
「ギルガメッシュ!」
「なに、殺してはおらん。こんな場所に居たら汚れる、帰るぞ」
ぱしっとあたしの手首を掴んで歩き出すギルガメッシュ。
後ろで母さんと父さんが何か言っているが、今は手首の熱でそれどころではない。
なに、今の。
もしかしてあたしを庇ったのか。……そんなわけないか、同類にされてキレたのかこいつは。
でも
「ありがとう」
「ふん」