この教会に来て、実に過ぎた時間は五年だ。
高校生という立場だったあたしは今はもう成人を済ませている。
言峰教会と呼ばれるここにすっかり住み着いたあたしはペットの世話係、言峰の恋人、変人、などなど様々な云われようだけど残念でした。ただのシロアリです。
ぶっちゃけるとニートというやつだ、これは。
「ねえ言峰」
「そういえば今日は客人が来る。自室から出てこないように」
「分かったって。それよりさ、あたし働こうと思うんだけど…」
「またその話か。金に困っているわけではないだろう」
「そうじゃなくてさ!あたしただでここに住み着いてるし、そういうの気が引けるっていうか」
「何を今更案ずることがある。ギルガメッシュの世話をしているではないか」
「ああもうそういうのじゃなくてね!あたしは収入を作りたいの!」
「そんなことは関係ない」
このかったい頭のわからずやは五年経っても健在だ。
今はなるべくお金を使いたくないので髪は地毛のまま染めることもなく、化粧も最低限しかしていない。
あの頃にくらべたらいくらかマシになったんじゃないか、と思う。思いたい。
「そんなに職を臨むなら家事の一つでも覚えて欲しいものだ」
「…できないものは仕方ない」
「料理の一つもできない小娘に職を求めるなど到底適わん」
「やっ、やってみないとわかんないじゃん」
「そういう所は五年前と何ら変わらんな」
ごめんなさいね、外見ばっか大きくなって。