かみさま、きいて | ナノ
どうしようもないほどに、
「初めまして、三島咲と申します」
「おお、初めまして咲ちゃん」
「私はマーサ、そちらはグレンよ」
「お家が無くて困ってるんだったな」
「家族で海外に住んでたんだけど、私事情で来たらホテルがキャンセルされたんだよ」
「まあそうなの?それは困ったわね。うちで良かったら泊まってらっしゃい」
「ありがとうございます」
ぱあああ、と嬉しそうに笑って咲はウェイバーに嬉しさのあまり抱きつく。スキンシップ激しいわ!とあしらわれてしぶしぶとウェイバーから離れる咲。お部屋はウェイバーちゃんのお部屋に丁度お布団があるわね、と話を進め始めたマーサに慌てて講義をするウェイバー。
「お、おばあさん!ボクの部屋はちょっと」
「あら?どうしたのウェイバーちゃん」
「ほら咲も年頃の女だし、男と同室ってのは…」
英語で会話されてはちんぷんかんぷんな咲は、な?とウェイバーに同意を求められて取りあえず首を振っておく。もちろん縦にだ。
「そうねぇ…。それじゃあ私たちの部屋にしますか?」
「そうだなあ。咲ちゃん本人が言うなら」
「咲ちゃん、私達と同じ部屋でもいい?」
今度は日本語で聞かれたので、咲は笑顔で頷く。出来ればウェイバーと同室が良かったけど、大好きだった夢小説とかそんなんじゃないし上手くいくわけが無いか。同じ家に居られるだけでもとんでもない奇跡なのだ。それじゃあウェイバーちゃんのお部屋から布団を持ってきましょうね、と話が更に進む。取りあえず部屋の主はほっと胸をなでおろす。
「それなら私が持ってきます!」
「そう?ウェイバーちゃんのお部屋は二階よ」
「はーい」
「おい待てって!」
散策されたら困るとウェイバーも咲に続き部屋へ向かう。そんな二人を見てグレンとマーサはくすりと笑う。
「ウェイバーちゃんがアレクセイさん以外のお友達を連れてくるのは初めてね」
「そうだな」
あんな声を張り上げるのも久しぶりに聞いた、とグレンが優しげに呟いた。
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