「…ふう」


危なかった、本気で大惨事になるところであった。ズボンにシミなんて付いた日にゃあもうお嫁に行けない。…やっぱ無理!お嫁にいくのが三日遅れてしまう!だってあたしがウェイバーさんに嫁ぐのは決定事項ですものね!きゃー恥ずかしい!よし帰ろう。トイレだけ借りてさよならってのもチキンちゃんには無理なので棚に置いてあった紐型グミの"ひもG"を手に取った。ソーダとコーラ半分ずつという美味しいどこ取りな罪なお菓子である。



「あら、これもう賞味期限が今日ですね…」


それも30分まえと来たもんだ!すげえこんなギリギリってあるのか!

「お客様」

「え、あ、はい?」

「30分以内に食べられるなら持っていっていいですよ、これ置き換えるの忘れてて…。店長にどやされちゃう」

「まじですか!わーい美人って優しい!!」

「あらお上手!」


なんと聞いてくれ。今手に持っているビニール袋にはひもGとみんなだいすきよっとっとが入っているのである。よっとっとはお姉さんがおまけしてくれた。なにこれ超得な日!軽い足取りでベリーダンスを踊りながら、ライダーさんの戦車の待つコンビニ裏まで行った。


「(ウェイバーさんとライダーさんにも分けたげよう)」


差し入れするなんていいお嫁さんの定番じゃん!賞味期限25分前だけど。日本のお菓子の素晴らしさをメシマズ大国の舌に思い知らせてやろう。ぐわっはっは!


「…あれ、なんだあれ」



一瞬だけキラリと光ったのは、まさにライダーさんとウェイバーさんが監視していた方向。つまりなんちゃら倉庫の辺りだ。金色の光が黒砂糖のような空に溶けていくように消えるのを間違いなく2.0のあたしの目で見た。見たんだけど、ない。…きんぴかといえばギルさんを思い出す。そういやロックとか言われたよね、なにロックって。お酒の氷割り?まさかの岩とか!あたしのことを岩と言うかあのきんぴかは!!今思うとすんごく失礼極まりないぞあの男!


「ウェイバーさあああああん!!」


「うわあいつ、声っ…」

「問題ない。ここからあそこまでは充分に離れておる」

「…オマエ、ボクとあいつで扱いが違くないか?」

「女子と男児を同等と見做すか愚か者め。なんなら女として扱ってもいいが?」

「ふ、ふざけるなぁ!」


震える声で痴話げんかするウェイバーさんとライダーさん。あれ、もしかしてあたしの最大の難敵ってライダーさんなのでは…!?なんて考えるのは明日だ。今は腹がいたい。戦車は御丁寧にあたしが鉄橋に降りるのを確認してから闇の中に消えていった。おお、さすが躾が行き届いてる!



「ウェイバーさん寂しかったですよねごめんなさい!貴方の愛しのハニー★春子が帰ってきましたよっ!」

「うわああああ揺らすなバカぁぁぁぁ!!」






涙目ウェイバーさんに鼻を痛める今日この頃。幸せです。


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