「うわあああすごいいい!!」

「………落ちる落ちる落ちる落ちる……」

「ウェイバーさん下!うおおすごいですね綺麗ですね!」

「うわああ!馬鹿!触るな下を見るな落ちるぞ馬鹿っ!!」

「坊主はまっこと、小さいのは背丈では収まらんのかぁ?」

「うるさい!」

「声裏返るウェイバーさんも素敵です!きゃっ」


黒い戦車に乗ったあたしたちを囲うのは低い柵のみである。
ウェイバーさんは顔を真っ青にして頭を抱え込みガタガタしています、可愛い!
反応可愛さのあまりつついたら思いっきり殴られた。毎度愛が痛いですウェイバーさん。


「うぬらは実に微笑ましい」

「やだライダーさんお上手ですね!」

「何言ってるんだって!オマエらいつか落ちるぞ!戦車の安全性なんて絶望的じゃないか!」

「うぬこそ何を言う坊主。この戦車はただの戦車ではないのだぞ」

「そんなの稲妻出しながら空飛べば分かるわ馬鹿ッ!!」

「騒々しいのう…」

「どうどうウェイバーさん」

「ボクは猛獣か何かか!」


さっきまでの恐怖がストレスに化けたウェイバーが怒鳴り散らす。
ウェイバーさんにはカルシウムが足りてないと常々思うわけでしてね、前なんてあれですよちょっとお尻触っただけでたんこぶ作られましたからね!


「ライダーさんライダーさん」

「む?どうした」

「どこに向かうんですか?」

「これより始まる決闘が見届けられる見晴らしの良い高台だ」

「たっ…聞いてないぞ!た、高台なんて!」

「阿呆。それでも男子か愚か者め!」

「ひう゛!!」


パシィン!と爽快なデコピンの音が鳴ると、小柄な体が宙を舞い慌てて抱きとめる。
あたしって王子様的…!相も変わらない良い匂いが鼻腔を掠た。

…くそ細い…!

「わ、悪い」

「腰ですか!腰ですよねそうですよね!!」

「なっ何言って」

「ええそうですよ!あたしの腰はプニついてますよ!ウェイバーさんの腰が細いからって泣きませんからねええ断じて!
あたしの方が細くないからウェイバーさんが振り向いてくれないんですよね!!」

「おま、ちょ、落ちつ」

「結婚は痩せてから、です!ライダーさん協力お願いします!!」

「過度な減量は良いものではないが…坊主の好みに近づきたいと申すなら、このイスカンダル手助けをしてやろう」

「オマエらいい加減にしろよ馬鹿!」





まずは毎日のウォーキングから始めよう。


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