一言で言うと、あたしは何の役にも立たない凡人なのです。ぶっちゃけると聖杯戦争とかサーヴァントとか良く分かんないし、分からなくたって人生のどの辺りで困るのかと聞かれたら答えられないわけでして。
ずっと放心状態(ライダーさん曰く、使い魔との視界を共有しているんだとかなんとか)だったウェイバーさんがぱちくりと瞬き。か、可愛い!

なんて叫ぶ間もなく、


「アサシンが――殺られた?」


暇を持て余したライダーさんが熱心にテレビを見ている中、ウェイバーはあっけらかんとした表情でそういった。
なんでもトオサカさんとかいうお人の家を偵察すると言ったきりウェイバーさんが話さないものだから、気絶してるのかと思った。良かった無事で!


「おいライダー、進展だぞ。さっそく一人脱落だ」


「ふぅん」

素っ気無い返事をしたライダーにウェイバーさんは気に食わない表情をする。

が、問題はそこではない。


「ブフアッ」

「お、おいなんだよその鼻血は!」

「ウウウウウウェイバーさんはああたしを萌え殺す気ですか!テロですかこれは!!」


そう。くるりと振り返り、人差し指を立てていたずらに笑うウェイバーさんは、正に天使。いやこの春子を楽園誘おうとする死神だ。
どうしてこんな自然な行動の一つ一つが可愛いんだ!ヒロインかバカ!


「おい、解ってるのかよ!アサシンがやられたんだよ、もう聖杯戦争は始まってるんだ!」


あたしを華麗にスルーするウェイバーさんも素敵です。

そして再びふぅん、なんて素っ気無く返されるウェイバーさんも可愛いですげへへへへぇ!
昨日までの緊張なんて微塵も残らないのさ!


「……おい」


声を上擦らせるウェイバーに、ライダーが面倒オーラを放出しながら半身だけ捻って振り向く。


「あのなぁ、暗殺者ごときがなんだというのだ?隠れ潜むだけが取り得の鼠なんぞ、余の敵ではあるまいに。
のう小娘。そうは思わんか?」

「イエッサー!」

「小娘は物分りが良いのう」


黙り込むウェイバーにそれよりも、と今度はライダーさんが話しかける。

「坊主、凄いのはコレだ、コレ」


そういってテレビを促すライダーさんに、ウェイバーさんとあたしが目を向ける。
『実録・世界の航空戦力パート4』
最近ライダーさんが集めている軍事マニア向けのビデオの一つだ。もちろん、調達すつのはウェイバーさんかあたし。だってライダーさん目立つもの!


「ほれ、このB2という黒くてデカイやつ。素晴らしい。これを10機ばかり購入したいのだがどうか」

「――その金で国を買い取った方が早いぞ、きっと」

「さすがウェイバーさん的確なツッコミ!!」

「オマエは黙れ!!」


キッと鬼のような形相で怒鳴るウェイバーさんにお口ミッフィーを誓う。
冷たいんです、あたしの旦那様いま反抗期だから。

「やはり問題は資金の調達か……どこかにペルセポリスぐらい富んだ都があるなら、手っ取り早く略奪するんだがのぅ。
取り敢えず、このクリントンとかいう男が当面の難敵だな。グレイオス大王以来の手ごわい敵になりそうだ」

「……」


ウェイバーさんが腹を抱える。
よくお腹を痛めるらしいけど大丈夫かな、何もないといいけど…。
生まれつき温かい手でお腹をさすってみたら跳ねられた。何故!

「…オマエに触らせるほど危険なことはないからな」

「あ、読心術ですか?やだはずかしいーてへぺろりん」

「気色悪いわ!」




今日のツッコミは冴えていらっしゃいますウェイバーさん!素敵!


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