ウェイバーさんがお出かけしてから早くも五日。…くらいの体感時間だけど実際は30分。会えない時間が永遠のように感じて辛い。
マーサさんたちも居なくなって完璧にお留守番状態でございます。くそうツンデレさんめ、あたしもつれていけよだけど許す。惚れた弱みだぞこのやろう。


「暇だなー…」

口に出してもなにも変わらねーよっていうね。いっそこの窓の向こうにUFOでも飛んでいたらいいのに。なんてそんなこと運の悪いわたしには程遠い夢なんだけどもね。
のほほんと青々とした空を見ていたら、黄緑色のような黄色いような光を帯びた飛行物体が過ぎった。

過ぎっ、た。


「んんん!!?え、なになになにモノホン!間違えた、本物の!?うわすっごい、ええ!?」

勢い良く家の外に飛び出して上を見上げたら、丁度頭上辺りで停滞していた。
うわうわなにすごいあれ!なんか上に人みたいなの乗ってるしまさか宇宙人!?


「わー、我々は地球人であるーーー!聞こえますかー!?UFO見せて親愛なる宇宙人さーん!」


モノは試しとはよく言ったものである。通じるはずのない日本語で問いかけると、あろうことかゆっくりと飛行物体が降りてきた。え、なに通じちゃった!?
どきどきばくばくする心臓を押さえて食い入るようにその珍景に魅入った。


「貴様か。我が拝謁の栄に賜りながらも地球外生命体と同格とみなした不届き者は」

「え、…にんげん?」

「痴れ者が!我は王の中の王にして、人類の頂点に君臨する真の英雄王であるぞ」

「王様?」

「相違ない」

「何でそんなUFOみたいなのに乗ってるんですか?」

「我の勝手であろう。それともなんだ、この現世では貴様の許可無くして機器を操ることは適わんのか?我よりも位が上と申すのか雑種」

「ちちち違います!いや本当すみませんあの、敬語とかもうすごく苦手でして癪に障りましたよねすみませんホント!!」


がばーっとスライディングする勢いで土下座したらくつくつと頭の上から笑い声が聞こえてきた。
金ぴか王さんの声だと気付くにはざっと10秒ほどの時間を要した。


「良い。面を上げよ」

「あ、はい」

「貴様、名はなんと申す?」

「えっと…佐藤春子、です」

「春子か。覚えておこう」

「あの出来れば貴方の名前を教えていただきたい、です」

「……良かろう。今日は気分が良い、心して聞け。我の名をギルガメッシュ、身命を告げたからにはその低脳に刻むが良い」

「ギルさんですね!イケメンさん癒されますぐふぇ」

「その緩みきった見るに堪えぬ顔を晒すな。我は先を急ぐ、また会おう決め手(ロック)よ」

「へ?」



ロックってなんですか、と口から出る前に金ぴか王ことギルさんは消えてしまった。
とんでもないイケメンだったけどすごく高飛車な人だったな、でもまた会いたい。なんたってイケメン!いや、でももしかしてこれはウェイバーさんの浮気に繋がるのでは…!
駄目よ昼ドラな展開に陥っていいのは三十超えてからって決めてるんだから!





…取り敢えず戻ろう。うんそうしよう。 


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