ふよふよする涼野さん ごそっとうなじのあたりから、淡い色の髪を持ち上げる。そのまま両手で力いっぱいにかきまぜた。普段から不本意ながら寝癖だの無関心ヘアーだの言われている髪型がさらに散らかっていく。涼野はしいたままの布団に倒れ込んだ。円堂は、その布団のそばでじいっとサッカー雑誌を読んでいる。 「ねえー」 「なんだ?」 「私この前本読んだんだよねえ」 「うん」 「父さんの書斎にあったんだけどさーあー」 「うん」 「それ、なんか最後に布団の匂い嗅ぐやつで…」 「えっ何もう一回言って」 「だからさーあーあー…私も円堂帰ったあとに円堂のにおい嗅ぎたいから、一緒に寝ない?」 布団の片側を開ける。雑誌を持ったまま、円堂が入り込んできた。眠いなら寝ていいぞーといいながらも雑誌から目を上げない。 「これは…よいおざなり感…」 「おやすみ涼野ー」 |