るんるんする南雲


すべてを許せそうな日だった。薄青い紙をひっさげて、南雲は円堂家の扉を叩いた。迎え入れた円堂はさぞかし驚いたことだろう。なにせ、いつもは何かに挑むような南雲が、満面の笑顔で立っていたのだから。

「えーっと…?」
「邪魔するぜ!」

階段をリズミカルに上がって行く。自室の扉を軽やかにくぐった南雲の後ろ姿に、微笑ましいを通り越してやや恐怖を覚えた円堂は、扉を開け放したままにしておいた。

「えーんどーう!」
「はい! なんですか南雲さん!?」
「ふははははっはは、は、ははははは」
「大丈夫か」

薄青い紙を眼前に突き出された。受けとって眺める。身体測定?

「伸びたぜー!!」

言わないでおいた。
自分も伸びていて、しかもこの紙に記されている数値よりも、その、わずかだが、なんというか。

「円堂抜かした! っしゃー!」

言えるわけがない。


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