それは多分、何年も前から、きっと生まれた時分から、いやもしかしたら何周目かの人生の取るに足らない通過点から、あるいは何億光年と離れた星のかなたから、基山ヒロトが考えていたことなのかもしれない。俺は円堂君とだけは、どうあっても一緒になれない。性別、種族、その他もろもろが噛み合わなかったりだとか、どちらかがあっけなく死んでしまったりだとか、他の誰かとくっついてしまったりだとか。原因なんていくらでもある。いくらでもあるから、次にやりなおせるだろう、次こそは望まれた結末を迎えられるだろうとヒロトは彼の幸せばかりを願ってきた。傍観者であろうと努めたこともある。結婚式でスピーチをしたことも少なくない。心が悲鳴をあげるのをなだめすかして過ごしてきた。
ヒロトは、実は人の未来が見える。翡翠色の目にちらつく程度だが、だいたい分かる。そこにはその人が今後一生かけて恋するであろう人や、せわしなく働く姿や、何十年後かの穏やかな様子や、たくさんの花束。とりあえず、断片的にだが、ヒロトには見える。何度も何度もきやまひろととして、えんどうくんという魂を好いたままに歩んだ命の中で、ヒロトは実験を繰り返し、この能力について考察してきた。磨き上げてきた。そして今、というよりも今生。基山ヒロトは円堂守の目をのぞきこんでいる。つるりとしたチョコレートみたいな海に、泣き出しそうな自分が映る。青白い頬、血のような髪、冷たい金属じみた瞳。すべてが映る。ヒロトは目を伏せる。なんだよ、何も映らないじゃないか。駄目だったよ円堂君、と泣き笑いの表情でつぶやく。肩を軽く叩かれた。何言ってんだ、まだ諦めんなよ。





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