オサーム様だって人間だもの



寝坊をした。もしかしたら生まれてはじめてのことかもしれない。しかもそれが数多のライバルを差し置いて想いを通じ合わせた相手と初めて出かける日だというのだから笑えない。自分のふがいなさに奥歯を噛み締めながら走っていると、あれよあれよという間に人波が割れて道ができた。近寄りがたい顔をしているのは自分でも分かっている。猟犬のごとく、駅前まで走った。オレンジのバンダナを、今日は外して来たらしいが猫の耳のような髪型であるためにすぐに見つけることができた。5分の遅刻だ。うつむいている横顔を見て驚いた。口元が落ち着きなくもぞもぞしている。円堂はふにゃふにゃと目を細めて笑っていた。額が熱い。実に熱い。病気かもしれない。声をかけた。
「砂木沼遅いぞー」




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