変な力がある不動さん


本能のままに生きすぎだろこいつら、と思う。
少年期のなんやかんや、とりあえずあまりよろしくねえ体験のせいか知らないが、俺には家庭が壊れた日から変なものが見えた。

「今日も、円堂くんは本当にかわいい…(今日も、円堂くんは本当にかわいい…)」
「円堂さああん一緒にパス練しませんかっ(円堂さん円堂さん円堂さん!)」
「お前ら円堂に近づくな!(潰す潰す潰す)」

…どれが誰とか、必要か?

労りながら罵るような世界を見ていた。それはそれでつまらなかった。しかし、この、好意の洪水。濁流。奔流。一人でいたくもなるというものだ。俺は孤高を貫くね。

「不動! シュート打ってくれよ!」

でも、こいつの声だけは聞こえない。それは声と心が完全に一体化して重なり合って響くがゆえに掻き消されているのか、それとも他の理由か。とにかく、俺には円堂ただひとりの心が見えない。

「や、別に見たくもねえし(本当は、)」

たったひとりが現れた日、ついに自分の心の声まで聞こえはじめた。で、言葉とは裏腹、でたらめを抜かしやがる。

本当は、どうしたい?

そんなことは、知らなくても支障ない。
「ふーどーうー」
こんな風に呼ばれ続けたなら、いつか答えも出ることだろうよ。


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