次郎さんは翌日風邪をひいたそうです


顔を上げれば円堂の家が見える。ちらほらと雪が降っていた。こんな日はさすがに外出しない、いや、サッカーをしないようで、深緑色のカーテンが片側だけ窓を覆っていた。もう半分からぼんやりとした光が見える。円堂は家の中で何をしているのだろう。俺の隣りで微動だにしていないブランコにはうっすらと雪が積もり始めていた。ということは、つまり俺はこんな日なのにさすがとかそういうのを押しきって忘れ去って置いてきて、外出しているわけだ。しかも行き先が円堂の家のほぼ向かいの公園。俺自身、別に来ようと思って来たわけじゃない。ただなんとなく足が向いてしまったのだ。FFIも終わり、俺は帝国に、円堂は雷門に帰って数カ月経った。他の奴らも散り散りになった。帝国は比較的雷門に近いから、別に俺がこのあたりにいてもおかしいだなんて思われないし、そもそも制服を着ていないから帝国の生徒とは思われないことだろう。いや、別に、そういうことを気にしているんじゃなくて。ああなんて言えばいいだろう。誰に言えばいいだろう。誰かに伝えられたらいいのに。でも、俺がこのどうにもならない気持ちを伝えたい相手は今日は部屋からきっと出て来ないのだ。



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