部屋割りは嘘です


明日の朝練の時間が変更になった、という簡単なメッセージの後に[宇宙人]とある。何のことなのか。というよりも、なぜわざわざメールをしたのか。吹雪は携帯電話をしまい、数個隣の円堂の部屋へと向かった。あれ、あのメールってどういうことなのキャプテン? ていうか口で言えばよくないかな。むしろ僕がその口をふさげばよくないかな。隣室の染岡が聞いたら閉口しそうなことを口ずさむ。ノックをし、円堂の部屋の扉を開けた。
「キャープテーン」
「お」
「どうしたの? 宇宙人ってなにー?」
「あ、吹雪のやつ出なかったのか、そっか、違うのか…これ」
「絵文字?」
「宇宙人の絵文字だ!」
「変なチョイス」
「ちょっとかわいいなあって思って」
「こんなの送られてきたら、ぼく、また宇宙人退治したくなっちゃうよ」
「しろうさんめがこわい」
「あはは、で、」
なーんでメールなんかしたのかなー、ゆったり歌うように、耳元で囁いた。ギョッと色気のない声を上げるキャプテンにのしかかる。ベッドが軋んだ。上から押さえつけるけれどキャプテンは身長こそ僕と変わらないものの、日本代表のGKだ。んしょ、とかわいい声と同時に僕の上半身は見事に持ち上げられてしまった。胸元にあてられた両手は大きい。
「あはは、飛行機みたいだね」
「いきなりびっくりするだろ!」
「なんでメールなの? 会いたくなかった?」
「そういうんじゃなくて…え? このまま会話すんのか?」
何も言わずににこにこしていると、キャプテンは諦めたように両手をゆっくりおろした。僕は再びキャプテンに覆いかぶらせてもらう。代表に復帰し、ライオコット島に来て世界の強敵と戦う。それもいい。でも、キャプテンとまたこんなに近くにいられるっていうこと、それが何より。僕はそう思う。キャプテンが、吹雪がちゃんとすぐ来れるとこにいるっていうの、確かめたかったんだ、俺あんまりそういうのわからなくて、来てくれるかなって思ってメールした、みたいな事を僕の下で言っている。こんなに近い場所で囁くみたいな小さな声で。まあ、あれだよね、僕とキャプテンの距離を縮めるために、とりあえずふさいじゃおうかな。がぶっと。




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