風丸さんは基本的に円堂さんの言葉以外どうでもよさげ


そうだよね、本当に綺麗だよね、私なんかが隣にいても釣り合わないよね、ごめんね、ごめん、困らせるつもりはなかったの、ごめんね風丸君、お願い、忘れてね。

いつ誰が困ったというのか。風丸は、それこそ暴風のように訪れ、好きだとかそんな感じの戯言を抜かし、彼が円堂は今日手首のあたりを擦りむいていたがあれは大丈夫なのだろうかと考えている間に自己完結をし、そしてやはり戯言を打ち出し続ける女生徒の方をようやく見た。すると彼女はなぜか泣いていたので、風丸は踵を返してその場を去った。人に何かを伝えるときにはもう少しポイントを押さえて話すべきだ。困った、というか円堂が待つ部室に行く途中に呼び止められたので、風丸は苛立っていた。早くあの声に触れなければ。つむがれる評価を得なければ。

「風丸、もうみんなグラウンド行ってるぞ」
「なあ、俺は綺麗か?」
「へっ?」
「さっき言われた」
「んー…綺麗、だけど、だけどって言うのは変かな、風丸は男らしくてかっこいいと思う、あ、いや、綺麗でもあるけど、俺はどっちかっていうと風丸かっこいいに一票」
「何の選挙だよ」

記憶が急速に上書きされていく。円堂にかっこいい、男らしいと言われた。今日は何と祝福すべき日だろうか。ユニフォームに袖を通し、かぶる。一瞬の闇の後、風丸は先程の女生徒が何の用事で自分を呼び止めたのかをさっぱりと忘れていた。




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