生きてきた場所も違えば歳も違うし服の趣味も好きなものも嫌いなものも違う。
決定的なのは価値観の違い。近くなればなる程、この違いか浮き立って、離れる理由へと成長する。
「別れましょうって私が言ったら、アナタどうする?」
「まあ、ルッスーリアさんがそれを望むなら。」
もうこの時点でダメよねえ私達。
私としてはやっぱりここでちょっとは動揺してほしいわけよ。分からないかしらあ、この駆け引きに潜む乙女心。
「そう、アナタはその程度しか私のこと想ってないわけねえ。ショックだわぁ、傷ついたわぁ〜。」
「いや、あたしも本気で別れましょうって言われたら結構傷つきますけどね。でも、別れてもあたしはルッスーリアさんのこと好きでいられますから、死ねとか言われるよりはまあいいかなと。」
「すごく自己満足の愛し方よねえ、それ。」
「死体愛好家のルッスーリアさんに言われたくありませんが。」
「アラ…それもそうだわ。」
だからこんな他愛のない会話の中に、些細な共通点を探す。こじつけでも、なんでも。
その繋がりで一週間、1ヶ月、一年、一生、繋がっていける。無理矢理かしら。でも紙っぺら一枚の繋がりよりはマシよね。
「でも私は別れちゃったらそれで終わりよお。アナタのこと何とも思わないだろうし、勿論トキメキなんてないし、こうやってお茶することもなくなるかも。」
「だから、別にいいんですよ。あたしは好きですから。」
「それって暗に私の気持ちはどうでもいいって言ってるわけ?」
「そうかもしれません。ワガママでしょう?」
ワガママって言うより、ちょっとヒドいんじゃないかしら。愛されてる筈なのにちっとも愛されてる気がしないわあ。ああ、私ったらとんだ悪い女に捕まっちゃったわけね。涙が出ちゃう。
「ルッスーリアさんが何処に居て何をしてて誰が好きでも、あたしはルッスーリアさんが好きで、そう思えることが辛くて、幸せですよ。」
本当に、涙が出ちゃうわ。
私達って本当に、価値観も何もかも違うのね。人の想い方一つでもそう。そんな愛し方、私は知らない。
「本当に一方的ね。」
「ですね。」
「私も一方的ね。」
「ですね。」
「私達は根本的な似た者同士なのかもね。」
「そうかもしれませんね。」
「だから私達、一緒に居た方がいいのよ。」
「そうですね。」
「一緒にいましょう。」
「そうしましょう。」
「…本気で言ってるのよ。」
「知ってますよ。」
趣味も性格も歳も違うけど、アナタが私を好きで、私もアナタが好きで、行動は違えど、一方的な愛し方しかできないっていう共通点だけ頼りに、アナタを欲していいかしら。
不安なのが私だけっていうのがちょっとあれだけど、リードしつつされつつ、いきましょう。
「ルッスーリアさんが望むなら。」
アナタ、男に生まれてたら、きっと素敵な王子様になってたわよね。
【すきー】