「了平さん、こんばんわ。」
「おお、沢田妹に山本!」
「お疲れっス!」
「了平さん、こんな天気の夜にもランニングですか?台風近づいてますよ。」
「お前達こそ練習帰りだろう。」
「まあそうなんですけどね。」
「精が出るな!」
「ずっと勉強しないで練習だけしてられたらいいっすよね。」
「山本君、学生の本業を忘れないで。」
「そうだぞ!学生たるもの文武両道だ!」
「あ、了平さんは夏休みの課題終わりました?」
「風が出てきたな!帰ろう!」
「(豪快に流した)」
「それにしても、フェーン現象?だっけか。夜だってのに熱風だなー。」
「ああ、これだけ風があるのに涼しさを感じないのは、流石に辛いものがあるな。」
「音も凄いし、こういう夜は恐いですね。」
『恐い?』
「なんでそこでハモるんですか。」
「いや、巴にも恐いもんがあるんだなーって。」
「とても恐がっているようには見えないぞ。」
「なんか…最近同じことを言われた気が…なんなんですか、あたしはどれだけ感情が鈍ってる人間だと思われてるんですか。」
「別に鈍ってるとは思わないけどさー。」
「京子と比べると、随分落ち着いているからな。」
「(そうか…二人とも普段関わる女子が女子中の女子みたいな子だった…)や、でも、対自然は普通に恐くて当たり前ですって。特にこういう生暖かい風が吹く夜って、なんか、こう…」
「こう?」
「なんだろうね。体温みたいな感じがして、こういう熱風を全身に浴びると恐い。足首とか手首に絡み付いて通り抜ける時、何処かに連れて行かれるような気がする。」
「…何処かって。」
「うーん、何処だろう。」
「よし、なら連れていかれないように、手首を掴んでおいてやろう。」
「ん!?いや、今のはものの例えで」
「山本!お前もそっち側を掴んでやらんと、沢田妹は軽いから飛んで行くぞ!」
「ははっ!了解っす。」
「そこまで軽くないです!ちょっ…この連行される宇宙人感…!ていうかこの気温で手繋ぎ二人分は暑い!」
「来月の今頃には、この暑さも名残惜しくなんのかなー。」
「最近は九月も暑いからな!油断は禁物だ!特に野球部は外練ばかりだろう。」
「やー、中練は中練で熱がこもるし風も入らないしで辛くないすか?」
「何事もなく部活トークするねえ!」
【体育会系組と夏夜】