*団子屋の娘・巴と、【ろくな女じゃ】の鉢屋。





「鉢屋君ーいるー?」

「何ですか、小松田さん。」

「鉢屋君に外からお客さんが来てるよ。女の子。」

「三郎に女の子のお客さん!?え!誰ですか!?」

「八うるせえ。」

「えっと、名前は巴ちゃんだって。」

「おっ、来たか!雷蔵頼む!」

「はっ?え、巴ちゃんって誰?」

「私のふりして相槌打ってればいいから!」

「えぇ…?」



「三郎、やっぱり三郎出してくれって言われたから来て。」

「げー、なんだよ雷蔵、ネタばらししたのか?」

「ネタばらしも何も、顔見て早々に人違いだって言われたよ。困ってたから早く行ってあげなよ。」

「へー!顔見てってことは、その子、三郎と雷蔵の見分けつくのか?」

「……行ってくる。」

「あらら…へそ曲げちゃった。」

「それより、その子可愛かったか!?」

「え!?普通の女の子って感じたったけど…可愛いかって言われると…いや、別に可愛くなかったわけじゃないけど、人によるって言うか…う、う〜ん…」

「あー、うん。雷蔵に聞いた俺が悪かったよ。」









「あ、三郎君。こんにちは。」

「……アンタ、雷蔵に会ったことあったのか。」

「雷蔵?さん?さっきの顔がそっくりな人ですか?」

「絶対騙されると思ったのに。私じゃないって、どこで気付いたんだよ。」

「いや顔は同じでも、中身は別人じゃないですか。普通に分かりますよ。」

「普通は分からないもんなんだよ!」

「そう言われても…ん!?じゃあ何ですか、これ忘れていったのってわざとなんですか!?」

「わざわざ忍術学園に届けに来るとこまでは予想通りだったんだけどな。」

「こんなイタズラの為に置いていかないで下さいよ…!忍たまの友…!これ門外不出的なやつじゃ…。」

「忍者はバレなきゃ問題なし。」

「あたしが間違って雷蔵さんに渡してたらどうするつもりだったんですか…。」

「間違えなかったくせに何を言う。」

「あー…、分かりました。三郎君、例の先輩以外に変装見破られるのが納得いかないんですね。」

「はあ?」

「ほら、くのいち教室の先輩でしたっけ。三郎君に負けず劣らず変装の得意だって言う。本当に三郎君は、その先輩好きですよね。」

「ただの団子屋の娘に変装見破られるなんて、変装名人の名前に傷付くからだっつーの。」

「今日はいらっしゃらないんですか、その先輩。見たいです。」

「話を聞け。」

「ひねくれ者の三郎君が好きになる女の人って俄然興味が湧くんですけど。」

「うっざ。」

「三郎、わざわざここまで届けさせといてその言い方は失礼だって。」

「そうだぞ三郎!普通に可愛い子じゃん!むっつりが!」

「げぇ…八まで来んなよ。」

「わー、癖毛に親近感。こんにちはー。じゃあ、そろそろ帰らないと暗くなるんで行きますね。その内、先輩と一緒にお団子食べに来て下さいね。デートで。」

「最後までしつっっこいなアンタ。」

「イタズラする相手は選んだ方がいいってことです。それじゃあ、また。一目見れてよかったです。」

「は…?…………。」

「可愛らしい上に、良い目を持っているとは。流石は三郎、良い娘さんを
引っかけたじゃないか。」

「………雷蔵。」

「いや、私が呼んだわけじゃないよ!偶々こっちに来られて…。」

「つーか八はどこ行った!」

「饅頭一つと交換で、この通り、快く姿を貸してくれたよ。」

「…私の周りには何でまともな女がいないんだ…。」

「自業自得としか言いようがないと思うけど。」

「はっはっは、ふわふわ君はよく的を得ている。それで、いつ団子屋に誘ってくれるのかな?三郎。」

「誘いません。」

「おやまあ。」






女難の装



桐生様リクエスト「落乱・鉢屋×巴」
別サイト【ろくな女じゃ】仕様で書かせて頂きました。故に×感は少ないですが、同い年感が書けて楽しかったです。リクエスト有難うございました。



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