「猿飛さん。」

「なーに、巴ちゃん。」

「毎日来て頂けるのはありがたいんですけど、お仕事大丈夫ですか。」

「えー?別にサボってるわけじゃないし。旦那が言ってたでしょ、団子の買い付けも俺様の仕事の内ってね。」

「いやそれでいいんですか、忍び頭。」

「俺様に言う前に風魔に言えばー?ま、俺様と巴ちゃんは運命共同体だから。運命共同体だから。」

「二回言わなくていいですよ。」

「それに、俺様みたいないい男がいると、目の保養になるでしょ?」

「ですねー。」

「うわあ心がこもってない。」

「白昼堂々、女口説いてんじゃねえぞこのクソ猿…。」

「うわ、何でいんの竜の旦那。」

「えっ…え!?藤次郎さん!?」

「Hey,long time.巴、まずはその猿から離れてこっちに来い。目を合わさずにな、襲われるぞ。」

「野猿扱い止めてもらえる?ていうか此処、上田なんだけど、何しに来たの。予告無しとか超迷惑なんですけど。」

「テメェらが巴を拘束してるっつータレコミがあったんでなあ。随分コイツに傷付けてくれたそうじゃねえか。あぁ!?」

「お、落ち着いて下さい藤次郎さん。いやそれより、まさかお一人で来たんですか?もう最近、雪降り始めてきてますよね!?」

「心配するな、俺もいる。」

「片倉さんまで!?いや逆に心配です!奥州が!」

「Don't worry.成実に任せて来た。」

「…やっぱり心配なんですが。」

「こっちはお前が心配で来てんだよ!!」

「なんかすみませんごめんなさい!!」

「それで、タレコミってどっから?上杉?風来坊?」

「風魔小太郎だ。」

「はあ?風魔?」

「あぁ〜…風魔さん…。」

「親切にテメェらの失態を事細かに教えてくれたぜ。テメェの旦那の自業自得の食あたりを、巴のせいにしやがったんだってなあ。」

「紛れもない事実だけど、一国の主が他のとこの忍の言葉を鵜呑みにして、国まで空けて来ちゃうってどうよ。戦略の内だったらどうすんの?」

「風魔は巴をダシには使わねえよ。何があってもな。」

「はっ、伝説の忍が聞いて呆れる。」

「お前が言うな。」

「や、兎に角、あたしは元気ですよ。誤解も解けましたし、傷も治りましたし、別に拘束もされてないですし。」

「そうそう、雨降って地固まる的な。」

「じゃあ何故、未だに発っていない。風魔が言うには、体が癒えてから随分長い事、甲斐から出ていないらしいな。わざわざ躑躅ヶ館から、上田に移動してまで。」

「明らかにテメェらが連れ回してんだろうが。」

「べっつにぃ?西に行く前に路銀稼ぎするって言うから、うちの馴染みの甘味処教えてあげただけだし。ねー巴ちゃん。」

「あー、まあ、はい。」

「歯切れが悪いじゃねえか。」

「…今考えると、上田までの道のりに、結構時間がかかってたなあって…。」

「あ、今気付いたんだ。」

「えっ。」

「雪さえ降っちまえば、春まで此処に縫い付けておけるって魂胆だろ。」

「それ藤次郎さんがやる手じゃないですか。」

「なんだ、竜の旦那だってやってんじゃん。」

「やっぱりそのつもりじゃねーか!!」

「えっ。」

「だってこの子、危なっかしいんだもん。変なとこで冬越えさせるより、目の届く場所に置いといた方が安心じゃん。」

「異論はねえが、お前の傍に置いとくのも危ねえに決まってんだろ!!」

「まさかまさか。俺様と巴ちゃんはもう一心同体みたいなもんだよ?何を心配することがあるっての。」

「流石に一心同体は言い過ぎじゃないですかね!?紛らわしっ…」

「巴。」

「…ナンデスカ、藤次郎さん。」

「…once more.」

「……決して一心同体ではないです。」

「ひどい…俺のことあんなに求めてくれたのに、あれは嘘だったの…?」

「…どういうことだ、巴。」

「いや違うんです片倉さん…色々誤解が…!」

「俺の下であんなに嬉しそうに泣いてくれたのに…。」

「あああ紛らわしい!!でも間違ってはいないから訂正し辛い!!」

『巴ェエ!!!』

「顔が怖い!!」

「む!?そこに居られるのは政宗殿に片倉殿!?」

「真田アアァア!!!」

「早速手合わせでござるか!望むところ!!」

「幸村君!?いやここ町中!」

「心配無用!武器は使えぬが拳がある!巴は安心して仕事に精を出されい!」

「いや普通に営業妨がっ」

「shiiiit!!!なに名前で呼び合ってんだ!!真田のくせにテメェエ!!」

「いやーお陰様で仲良くなっちゃってねー。なんかこの二人って相性良いみたい。紹介してくれてどうも〜。巴ちゃんで色々慣れてくれれば、旦那の破廉恥発言も減るかも。」

「ふざけんじゃねえ!!そんな事に巴を使わせてたまるか!!」

「?色々とはなんでござろう?」

「さあ…でもあの二人には聞かない方が良さそうですね。」

「また敬語でござる。不要と申したが。」

「幸村君もござるってますよ。」

「こ、これは癖にございますれば!」

「お互い慣れないことはするものじゃないですねー。」

「否!これは信頼の証!慣れぬのならば慣れるまで!!」

「うん、ありがとう、幸村君。」

「っ…!っ…!!」

「人を無視してイチャついてんじゃねえぞ!!」

「なっ、そ、そそその様な事はしてござらぬ!!」

「あの…片倉さん、すみません。作業途中なので、とりあえず終わらせてきていいでしょうか…。」

「…行ってこい。」






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