「あの、アントニオさん。」
「……。」
「アントニオさん、その…」
「…何だ。」
「……すみません方向が逆ですし流石に無視されると恐いですって!」
「…悪い。」
「ええと、何か言いたい事とかあるなら、遠慮せずどうぞ。」
「……。」
「割と打たれ強いので、オブラートに包まなくても大丈夫ですよ…!」
「いや、…別に怒ってるんじゃない。まあ…気にすんな。」
「無理ですって。気になりますって。」
「そういや、お前の家に行くのは初めてだな。」
「話反らしましたね。…まあ、いつものご飯会は昼間ですし、夜はあたしがアントニオさんを送ってますし。あ、折角だから寄って行きますか?」
「またアイツらにあらぬ誤解をかけられそうだから止めとく。…と言うか巴、そういう事を考え無しに言うんじゃないぞ。」
「え?洗濯物なら片付けてありますよ。」
「そうじゃなくてな…若い女が、簡単に男を部屋に入れるなって意味で言ったんだが。」
「あ。あー…そうですね、そうでした。すみません、非常識で…。」
「や、非常識っつーか何つーか…まあ、気をつけろ。」
「はい。でもアントニオさんは、今日じゃなくてもその内遊びに来て下さいね。」
「俺の話聞いてたか!?」
「大丈夫ですよ、アントニオさん的に異性として対象外なのはよく知ってますから。」
「お前のことは可愛いって言っただろ!」
「それ、子ども的な可愛さでしょう。寧ろそれ以外で言われたら引きます。」
「な…」
「まあ冗談はさておき、お暇な時があったら、本当に気を遣わずにどうぞ。久しぶりに大鍋でシチューとか煮たいんですよ。」
「それが目的か…。」
「心配して頂かなくても、今日会ったばかりの虎徹さん達を自宅に招こうとは思いませんよ。」
「……え。」
「あ、すみません、電話きたので、ここまでで大丈夫です。今日はありがとうございました。それじゃあまた〜。」
「………ああ…。」
「行ったらまた犯罪者扱いですよ。」
「つけてくんな!」
:深読みはお控えを
蔵出し。