〜前回の短編を手違いで消してしまったので前回のあらすじ〜

銀行強盗に遭った巴と、助けたアントニオ。あれやこれやでご飯友達に。日本への帰国を伝える巴に、アントニオがとった行動とは──!?

結果:とりあえずそのまま残っている巴。その後↓



*虎と兎と空と折紙と牛と巴







「いいんですか、連絡もせずに押しかけて。」

「大丈夫大丈夫!あいつ独り身だし。」

「でも、休みですし…まだ寝てたりしませんかね?」

「俺達くらいの歳になってくるとな、長寝できなくなるんだぜ。」

「早起きは良い事だ!そして良い事だ!」

「おーい、アントニオー。昼飯食おうぜー。」


ピンポピピンポピピピンポーン


「押しすぎだ虎徹!!」

「こ、こんにちは、バイソンさん。」

「すみませんね、おじさんが。」

「あ、ああ、なんだお前ら、揃いも揃って。」

「そこでワイルド君とバーナビー君と会って、ワイルド君が昼食をご馳走してくれると言うので、バイソン君も誘いに来たんだ!」

「そ、そうか…。あー、虎徹ん家に集まるんだよな?先に行っててく」

「キッチン借りるぞー。」

「ま、待て!勝手に入るな!」

「あー?別に今更、見られて困るものなんて、……えっ。」

「長年の友人が引くようなものがあったようです。」

「おいこらアントニオ!!てめえどういうつもりでこんな」

「違う誤解だ!話を聞け!!」

「何というか…不倫現場の夫婦みたいな喧嘩ですね…。」

「痴話喧嘩はよくない!そしてよくない!タイガー君、バイソン君、落ち着くんだ!…おや?」

「あああお前まで入るなスカイハイ!」

「はあ…往生際が悪いですよ、結局何があるんですか。」

「あ、バーナビー君まで入っちゃうの…って、あ……お、女の、子?」

「ああ、これは…」

「引くなバーナビー!ていうか虎徹を止めろ!」

「スカイハイ!バニー!中の子を救出だ!」

「馬鹿!違うって言ってるだろ!」

「随分よく寝ている…。起こすのが忍びないのだが…」

「一服盛った可能性もありますね。」

「おまっ…既に犯罪者扱いか!」

「すまないが、バイソン君の名誉の為に起きてくれないだろうか。」

「起きないと犯されますよ。」

「ば、バーナビー君…!」

「ん……え、あれ……アントニオさん、…アントニオさん?」

「巴!」

「え?アントニオさん?あ、すみません…来客ですか?お邪魔してしまって…いや、大体あたし、他人様の自宅で爆睡して…!?」

「大丈夫か!?アントニオに何かされてないか!?」

「はっ?いやあの、朝ご飯をご馳走になりました、よ?ええと…何か揉めてるんですか?」

「食事をご馳走されたと言うことは、やはり薬でも盛られましたかね。」

「く、薬!?違いますよ!お腹いっぱいになったら、うとうとしてしまっただけで…!」

「起こしてしまってすまない!そしてすまない!ところで、君はバイソ…アントニオ君の友人なのだろうか?」

「あー…ええと、はい、友人です。」

「本当か?無理矢理連れて来られたりしてないか?」

「いやいやしてないですよ!なんでそんな話に!?というか、皆さんは一体…あっ、寧ろあたしお邪魔してます!?と、とりあえず帰ります!なんかすみませんー!」

「待て待て待て!落ち着けって!」









「取り乱してしまってすみませんでした…。皆さん、アントニオさんのお友達だったんですね。」

「こっちこそ悪かったなあ。寝起きに驚かせちまって。」

「だからアポ無しは止めた方がいいと言ったじゃないですか。」

「だってよお、アントニオはいつも暇してるから。」

「お前なあ…。」

「じゃあ落ち着いたところで帰りますね。」

「えっ!?」

「えっ?や、男同士水入らずのお邪魔になりますし。」

「まあそんな気ィ遣わずに、脅かしたお詫びにチャーハン食べていってくれよ〜。」

「大勢で食べる食事は美味しい!そして楽しい!」

「いいんじゃないですか?折…イワン先輩も、色々話を聞きたそうですし。」

「え、あ、う、うん…!」

「いやでも!二食も他人様のお宅で食べさせて頂くなんて非常識…」

「あー気にしなくていい。どうせ起きたら、昼飯食いに連れてくつもりだったし。」

「そ、そうですか?というかお昼まで一緒だと、遂に三食制覇ですね…。」

「言われてみればそうだな。」

『…………。』

「な、なんだよその目は…。」

「いえ?それはこれからゆっくり聴かせてもらいます。」

「お前さあ…本当に犯罪犯してないよな?」

「当たり前だろうが馬鹿!!」

「??」









「パラパラチャーハンお見事です。」

「だぁろお〜?」

「デレデレしてると引かれますよ、おじさん。」

「美味しい!そして美味しい!」

「バイソ…アントニオさんのスープも、美味しいです。」

「美味しいですね〜。それにしても、キッチン狭そうでしたね。」

「実際狭かった。」

「あたしが並んでた時ですら、身動きとりづらかったですもんね。」

「だな。」

『………。』

「…止めろ本当に。」

「??」

「で、そろそろ自己紹介でもしましょうか。」

「おー、そうだな。俺は虎徹だ!アントニオとは腐れ縁なんだ。」

「虎徹さん、日系さんですね。よろしくお願いします。」

「僕はバーナビー・ブルックス・jrです。」

「私はキース・グッドマンだ!」

「僕はイワン・カレリン。出身はロシアだけど…日本が大好きなんだ。えっと…巴ちゃん、は、日本の出身なんだよね?」

「はい、そうです。一応、語学留学なんですが、こちらに来て半年くらいなので、言葉が聞き取り難かったらすみません。」

「そんなことないよ!その…良い名前、だね…。」

「え、あ、えっと、…ありがとうございます。」

「巴君、一つ質問をしてもいいだろうか?」

「あ、はい、どうぞ。」

「君はもしや、以前、銀行強盗に巻き込まれていないだろうか?」

「え、」

「…あ!そういやよく見れば!アントニオが庇った子!」

「ああ、よく知ってらっしゃいましたねえ。」

「まあそりゃあ…なあ?」

「ああ!無事でよかった!」

「半年も前の話なのに…気にかけて頂いて、ありがとうございます。」

「まあ、そこからの縁ってわけだ。」

「怒涛のお詫びとお礼合戦で、よく一緒にご飯してるんですよ。」

「へえ…朝からですか?」

「いえ、今日はですねえ…昨日、アントニオさんとお店で夕飯を一緒に食べたんですけど、アントニオさんが割と悪酔いしてしまいまして。大丈夫かなと思って、今朝、様子を見に来たんです。」

「お前、こんないたいけな子に心配させるほど飲むなよな。」

「…すまん。」

「今更気にしてませんよ。」

「今更と言われるほど醜態を繰り返しているわけですね。」

「うぐ…、」

「元々浴びるようにお酒を飲んで死んだように寝るタイプの人が周りにいたんですよ…まあ父なんですが。」

「苦労してるんだなあ、巴ちゃん。」

「それをおじさんが言いますか。」









「座ってるとまた寝そうなので、後片付けは任せて下さい!」

「あ、僕もやるよ…!」

「私も何か手伝うことはないだろうか!」

「流石にここのキッチンで三人はキツいだろ。」

「すまない…そしてすまない…。」

「いやそんな、気にすることないですよ。」

「しかし…」

「あー、そうだ巴。スカイ…キースに片付け任せて、お茶入れてくれないか。例の土産のやつ。折角だし。」

「そうですね、こっちを先に片付けてから…」

「片付けは私達に任せてくれ!」

「お、お茶って日本茶ですか!?片付けてすぐ行きます!」

「い、いいんですかね…あたしだけ働いてないんですが…。」

「それ言ったらバニーちゃんのが働いてないからなあ。」

「僕はいいんですよ。」

「それこそバニーちゃんが言う事じゃなくない?」

「…あ、バーナビー略してバニーってあだ名ですか。」

「僕は認めていません。」









「巴ちゃんは、普段こいつと何処に食べに行ってるんだ?」

「うーん、あたしが食べたい物をリクエストして、アントニオさんにお店を選んでもらいます。カフェとか、地元のお店です。」

「へえ〜俺も地元の店なら色々知ってるから、今度一緒に行ってもいい?」

「おい、お前勝手に、」

「いいですよ〜。」

「!?」

「図々しいですよ、虎徹さん。」

「大勢の食事って賑やかでいいですよね。」

「…そうだな。」

「何ヘコんでるんですか。」

「いや別に…。」

「片付け終わりました。」

「茶葉の良い香りだ!私達も頂けるかい?」

「どうぞどうぞ。」

「…!この茶器はどこで買ったんですか!?」

「これは日本で使っていた物を、そのまま持ってきたんです。こちらでも探せば売ってるんですかね?」

「本場の日本茶器!僕もいつかマイ茶器を…!」

「イワン興奮し過ぎ。」

「本当に日本文化お好きなんですねえ。ありがとうございます。」

「あ…そのっ…も、もしよかったら、今度一緒に箸専門店に付き合ってもらえませんか!」

「箸専門店なんてマニアックな店あるんですか!?え、行ってみたいです。」

「ほんとですか!あ、ありがとう…!!」

「若者同士が盛り上がっているな!とても微笑ましい!」

「……。」

「…天然って恐ろしいですね。」

「だな。バニーちゃんさえ空気読んで何も言わなかったのにな。」









「それじゃあ、今度こそお邪魔しました。」

「お邪魔しました。」

「楽しい昼下がりだった!ではまた明日!」

「んじゃな〜。」

「急に押しかけてすみませんでした。巴ちゃんは家どっちかな…?えっと、よかったら送って…」

「あー、巴は俺が送ってくから心配すんな。」

「え、いいですよそんな。わざわざ悪いです。」

「それを言うなら、わざわざ様子見に来させたことが悪かっただろ。送るぐらいする。」

「ああ、まだ日は高いが、若い女性の一人歩きはよくないぞ!」

「こっちの人は本当に紳士的ですよね…。」

「送り狼にも気をつけた方がいいですよ。」

「バニーちゃん!こら!」

「送り狼って言葉、こっちにもあるんだ…。」

「ああもう、キリないからさっさと解散しろ!行くぞ巴!」

「え、うわっ、は、はい。」

「あ……。」

「残念でしたね、折紙先輩。」

「……。」







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