「……だけど、何さ?」

「や、うーん…この後の話って、俺が勝手に話しちゃってもいいもんなのかなあ…って。」

「ここまで話しておきながら、今更なのでは…。」

「まあそうなんだけどさ。…こんなになってまでそれを話さなかった巴の気持ちを考えるとなぁ…。」

「成る程…。」

「……。」



一旦話に一区切りつけて、武田の忍が煎れてくれたやけに旨いお茶で喉を潤しながら、視線を落とす。

眼前には、いつかの時を思い出すような光景。整然とした客間に、ぽつんと敷かれた布団に収まり、目覚めなんていつまで経っても来ないとでも言うように、深い眠りに浸り続ける小さな姿。前と違うのは、明らかに争ってできたと見られる傷が、顔だけでも数ヶ所あるってこと。



「でも、アンタが知ってることを全部話すって約束したから、俺様達も包み隠さず身内の恥を話したんだけど。ここで教えてくれないんじゃ、不公平じゃない?」

「ううぅ…!!」

「ま、まあまあ幸村!そう気にすんなって!俺なんかそんな悪戯しょっちゅうやってるしさ!」

「慶次殿と一緒にされたでござる…!!」

「あーあ、旦那恥っずかしー。前田の風来坊と一緒にされたくないんなら、もう二度とそんなことしないでよね。」

「俺酷い言われようだね!?」



子ども心を忘れないことって大事だぜ!?と付け加えても、二人はの目はあからさまに白けているから容赦ない。こんな時、巴が起きてたら絶対味方してくれるのに。

ああ、このちょっと面倒くさいような居たたまれない空気、誰でもいいから破ってくれないかなー…




「慶次!!謙信様の使いを申し出ておきながら、また騒ぎを起こしたな!今日という今日は、謙信様がお許しになられても私が許さない!!」

「、!そなたは…!」

「あれ、かすが。やっほー。」

「えっ、かすがちゃん!?」

「佐助に用は無い!!慶次!今すぐ表に!…出っ………」

「……あはー、前田の風来坊、これってもしかしてヤバい感じ?」

「うん、すごく。」

「……っ貴様等あぁあッッ!!!巴に何をしたッッ!!!!」




今度こういう時に助けを求めるなら、冗談でも頭の中でも、ちゃんと人を指定してから願うことにしよう、うん…。






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