名前さん。
彼女は静かに話し、静かに笑う。時々トゲの入った冷たい言葉を吐いたりもする。
そして時たま、僕をじーっと何か物言いたげな目で見てきたりもしてきた。
僕はその全てを見透かしたようたようなその瞳が気になっていた。
何故だかはわからないが・・・
そしていつの間にか彼女を目で追うようになっていた。
彼女が動けば自然とそれを横目で追い、彼女がボーッとなにかを見ていると自然と目がそちらに行く。
そして気が付いた、それは彼女に好意を持っているからだということ。
全てが終わった今なら分かる。
世界が明るくなった今ならわかる。
冷たいその言葉も、本当は彼女なりの優しさが込められた言葉だということ。
彼女が僕をじーっと見てきていた時は、両親の事を思い出して悲しくなっていた時だということ。
全て、彼女の優しさ。
それに気が付いた瞬間、僕の意識は全て彼女で埋まってしまった。
例え、僕よりも年上だとしても…虎徹さんと年が近いとしても
僕は彼女が好きだ。
「友達が結婚したらしいわ」
「…はあ、それで?」
「それだけ」
ああ、せっかく彼女が僕に話し掛けてくれたというのに…
何故僕はこうもぶっきらぼうなんだ。
今だけ呪う、この性格を。
だけど何故突然、結婚の話なんて?
色々と勘繰ってしまう。が、彼女のその無表情な横顔からは何も読み取れない。
いつも通りの無表情。
でも、その横顔がきれいだと思ってしまう・・・僕は重症なのかもしれない。
「・・・そういえば、貴女はお付き合いしてる人、とかはいらっしゃるんですか?」
「はっ?」
・・・何故か本気で嫌そうな顔をされてしまった。
何かいけないこと・・・だったのか。
「女性にあまりそういう話をしない方が良いですよ。特にこの年齢になると・・・因みに私は、誰も好きになりません。誰も信じられないから…貴方だってそうでしょう?」
「えっ?」
「違うの??」
横目で僕を見ながらそういう彼女。
その瞳に見つめられると僕は・・・
「えっえぇ、当たり前です。信用出来ない奴の事を好きになんかならない…です」
ただ、無表情にそう言う。
それを聞き、貴女は「そうよね」と言った。
僕は、笑って肯定することも
泣いて否定することも
ましてや貴女が好きだとも…言えなくなってしまった。
「はぁ…」
「(よわむし…、男なら押してきてみなさいよ)」
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お題サイト様「母星」様に提出。間に合わない・・・
テスト明けで意味が分からなさが倍増中。
とりあえず、ヒロインはバーナビーが好きだと言ってくれるのを期待したということで。