2つ並んでたっている、ブルックスの墓前に、バーナビーと名前がいた。

父さん、母さん、僕は、あなたたちの仇を討ったんだ。
消え入りそうな声で花束を供えるバーナビー。
ついてきたはいいものの、バーナビーの涙を見て、名前は今まで声をかけることもできなかった。

「バーナビー、」
「僕は、確かにジェイクを討った。けど」

振り向いたバーナビーの綺麗なエメラルドの瞳には、涙が今にも溢れんばかりにたまっていた。

「僕のしたことは彼らが望むことだったんですか?」
確かに僕はジェイクが憎くて憎くてたまらない。けれど、ジェイクを討つことを父や母が、望んでたと思っていますか?

「そうだね、バーナビーのお父さんとお母さんは望まなかったと思う」
「……そう思うと、僕は消えてしまいたくなる」
父さんと母さんのために生きてきたのに。

バーナビーはすがるように名前を抱き寄せる。彼の体は震えていた。

「…それでも、バーナビーがあの人たちを思ってしたことは、たくさんの人を助けてくれたよ」
「……それでも僕は、消えたくなる。ジェイクがいたこの世界から、両親を殺されたこの憎い世界から、消えてしまいたくなる」
「消えるなんていわないでよ、寂しいなぁ…」

それでバーナビーの傷が消える訳じゃない。癒える訳じゃない。

「でも」

世界が憎くて仕方ないと嘆くバーナビーは、名前を抱き締める力を強めた。

「君に出会えて、君を愛せたこの世界が愛しくもあるんです」

だからまだ、この世界にいてもいいですか。この世界に、君と生きていていいですか。傷を抱えていても、いいですか。

彼女を抱き締めたまま、バーナビーが嗚咽まじりにそう問いかけた。
名前が穏やかな笑みを浮かべていることに気づきはしなかった。

(バーナビーが生きてくれたらわたしはもうそれだけでいいのに)


せかいのすみっこできずあとは消さないで


母星さまに提出。
ありがとうございました!



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