「いろはちゃん!無事なの!?」と駆け寄ってくれた綱吉くんにとてつもない癒やしを感じてしまった。昨日今日でいろんなことがありすぎでしょう。その原因となった人たちは「あはは!」と笑っていた。ああもうこんな結末は、傑作だよね。


「とりあえずふたりともお疲れさま?」
「うん確かに疲れたけどいろはちゃんに負けてないと思うんだ。結局今回の事件って何だったの?いろはちゃんは別に誘拐されたわけじゃないんでしょ?!」
「うん、今回のこれは――」


この2日間、ぼくに起こったことを綱吉くんと、隣でこちらをじっと見てくるひとしきくんに向かって説明した。これが潤さんの暇つぶしだってこととか綱吉くんの妹も関わってることとかね。人類最強と天才少女がこうして力を出してるんだから、ぼくには乗るしかなかったと弁解させてもらった。


「はあぁあああ!?じゃあ前回とか前々回とか前々前回とかの真面目な雰囲気ってまるっきり無駄なことだったの?!ひどいだろっ!!」
「なんだか久しぶりに聞く気がするなあ綱吉くんのツッコミ。きみのツッコミの価値をもう一度確認させてもらったよ」
「だからオレの価値ってツッコミ!?」
「うん」
「正直に答えられたー!!」


まあぼくは嘘つきだからね、綱吉くんの価値がツッコミだけだなんてもちろん思ってはいないさ。だけど綱吉くんはこれで大丈夫だろう。問題はさっきから変わらずこちらを見てくる《鏡の裏側》だよなあ。つかつかと近づいてずいっとぼくはチョキの手を零崎人識の前に出す。そうまるで《はじめて》ぼくたちが会ったときのあのときのぼくみたいに。人識くんは驚いたように目を見開いて「いろはちゃん?」と呟いた。


「――お疲れ」
「……おう、ボロ負けだったけどさ」
「うん、知ってる。でもさ、潤さんは冗談でも本気だって知ってると思うから言っておく。だけどぼくはここからはまだいなくならないから」
「!!」
「だから傑作なことにきみたちの勝ちだよ、人識くん綱吉くん」
「って聞いてたのかよいろはちゃん…」
「うん、すっごくはっきり聞こえてきたよ。姫ちゃんがからかってくるぐらい、さ。――でもありがとうな」
「! いろはちゃんがデレた!笑顔めっちゃかーわーいー、制服もかわいいしなにこれわー」
「ちょっ……!」
「あーちょっとふたりともいちゃつくんなら外でやってよね」


綱吉くんの視線が冷たかった。そのままべりっと潤さんと姫ちゃんによってぼくたちははがされて、ぼくは潤さんの腕のなかに閉じ込められた。


「師匠になにしてるんですか?!誰がこの格好にしたと思ってます?姫ちゃんなんですよ!」
「ナイス!!名前知らないけど、ナイスだなお前!」
「あー残念。けっこういろはがあたしたちと来るの期待してたのに」
「すみません」
「謝んな、ばーか。あたしはアンタの決めたことに口を出すつもりはないからな、まあ精々ここで頑張んな」
「はい、そりゃもちろん。今は、ぼくの周りにちゃんと人がいますから。引き止めてくれる奴とかツッコミで注意してくれる友達、いろいろと優しくしてくれる友達もいます、安心できますか?」
「あははっそりゃますます安心できないじゃんよ。――あ、そーだ零崎くん、あたしの妹を手に入れたいなら精々もっと頑張れ。外の奴らにもこれは言ってやれよ?」
「えーわざわざ伝えんのかよ?」
「男ならでっかく心もっとけ!」
「……うんまあ、いっか。教えてやんよ」

そのほーが魅力的だろ?と殺人鬼はつぶやいた。












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