「はっ……まったくざけてるよな…!」
「あはは!どーしたよ零崎くん沢田くん?まだこの通りあたしはピンピンしてるよ」
「っ!!」


ああもう冗談じゃないだろ、人類最強。ザンザスだってもっと弱かったって、てかレベルが違いすぎる。さっきからオレたちが傷つけられてるのはその赤色のスーツ……ってそうだよ、スーツなんていう動きにくいもの着ていてそれって無しだろ。それに比べてオレたちはボロボロ、傷なんて数えられない。ははっ、もう半分ヤケクソ、人識くんと目をあわせて同時に攻めるけれど通じない。さすがに炎は避けてるみたいだけど、リーチが違うから拳が届かない。

「ほいよっ!」
「ってあああ!!?」
「あははは!ざっくりってか?」
「また切りやがったな、おいっ!伸ばすのどんだけ大変かわかってんのか!?」
「ん?んなもん気合いではやせよ」


しばるくらい長かった彼の髪がざっくりと切られた(手で、)。またってことは前切られたことがあるってことか?なんてこちらに意識が向かっていないいまだけ呑気に考えた。哀川潤さんがどんなに強くたって《"人類"最強》、人間相手だったらこの超直感は働くからオレはけっこうまったりしていた。ずるい?賢いって言って欲しいなあ。…っと危ない、きた!
こうして戦ってわかる、なんて華やかな強さ。シニカルに、楽しそうに笑いながら戦う彼女は見ただけで強いし実際強かった。……ん?…………っ!!

一閃、その後人識くんがナイフを何本も取り出して投げつける。だけど予想していたのかそれをあっさりと避けて人識くんにまた撃ち込む、それを避ける。だけど人識くんはこのままバランスを崩してしまう。そう直感した瞬間にオレは駆け出して、受け止められるかもわからない、人類最強の攻撃と殺人鬼の間に滑りこんだ。


「!! ツナ……?」
「はやく、体勢を立て直せ……!」
「っおうよ」
「……なんだよ、お前ら。殺人鬼を庇うマフィアなんて聞いたことないっつの」


……?あれ、戦意が消えた?とりあえず言っておきたい。


「オレはマフィアにはならない」
「あ?んなことはどーでもいいんだよ。お前がマフィアになろうがならまいがあたしには知ったこっちゃねーからな。だけどさあ――零崎くんはわかってっとは思うけど、あたしはそういうのに弱いんだって!仲間同士で庇い合うなんて、王道だろ!!ああもう、あたしはあんたたちを倒せないじゃん!」
「はい?」
「――相変わらず身内に甘いんだな、潤」
「そんなのわかってたことだろ、リボーン。あーあ、せっかく面白かったけど、今回はこれで終わりだよなー」
「やっぱりそうか」


言っている意味がわからない。リボーンはなんだかひとりで納得してるし、哀川さんはがしがしっと頭をかいてリボーンをじとっと睨みつけていた。本当に仲いいの?このふたり。


「面白かったって、まさかよ……」
「へへっきっと考えてる通りだぞー零崎くん?なあ、いろはちゃん」
「――まったく……いい加減にしてくださいよ、潤さん」
「!! いろはちゃんっ!無事なの!?」
「ああ…うん、肉体的にはってのは戯言になっちゃうかな……」


静かに部屋に入ってきたいろはちゃんを見た瞬間に気が抜けて、炎がしゅんと消えた感じを額にうけながらオレはいろはちゃんに思わず駆け寄った。いろはちゃんは本人の言うとおり、怪我とかはないみたいで……でもなんでか見たことのない制服に着替えていた。その後ろではニコニコと笑う同じ制服を着た女の子。――ああ、この人たちがいろはちゃんの疲労に満ちた表情の原因か、と静かに思った。











人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -