「さあて……どうなってるのかなあ?このまま《彼女》の願う道か、はたまたこの違う世界の違う理による違う道筋が用意されてるのか。ま、どうなろうがそんなのは無意識にいまだ《無為式》ないろはちゃんがいる限りは《どちらでも同じことだ》だったりして!っと噂をすれば影になっちゃう、それはごめんだね!」







「―――ここだ」


オレたちがたどり着いたのは、並盛の一画にあるいかにも火サスとかで出てくるような建物だった。ってよくこんなとこ並盛にあったな、でも実際こんなところに誘拐したらすぐバレるんじゃないかって思うぐらいに「王道」な場所。まあドラマはファンタジー、こんなところ逆に使いにくいだろうからこそ見つからなかった、死角らしいよ(正直よくわからないけどさ)
ちなみにいまここにいるのはオレとリボーン、獄寺くんと人識くんそして出夢くんだ。山本と理澄ちゃん、雲雀さんにはまたなにかある可能性があるから残ってもらった。だってほら、理澄ちゃんとか絶対危ないし。理澄ちゃんは出夢くんといろはちゃん、あとぼくがいないいまは山本に懐いてたし。
ごくり、と息をのんで小屋を見る。見たところそこまで広くないみたいだけど、油断はできない。みんなと目を合わせて一歩進もうとした。

「待て、綱吉」
「出夢くん?」
「糸、だ。これに触れたら相手に自分の居場所を知らせちまうぜ?ま、あえて知られての正面突破を狙うっつーんなら別だけどな、ぎゃははっ!!」
「!! 全然気づかなかったよ、すごい……」
「ぎゃははっまーねーっ!だけどそもそも僕と綱吉クンじゃあキャリアが違うだろ?僕は綱吉はあのミオのオニイチャンなんだから強くなると思ってるけどなー」
「…あいつって、そんなに強いの?」
「強いんじゃねえ、《うまい》んだよ。実際強くはないけど弱いわけではけっしてない、僕はあいつとはもう2度と戦わねえから」


うわあ…ミオってば出夢くんに苦い表情でそこまで言わせるほどなにやったんだか。でも、なんとなくわかった。オレたちふたごだし、あいつが大好きだし。やりたいことは、わかるよ。
とりあえず出夢くんの言うとおりに糸に触れないように進む。……あんなに派手な動きなのになんで彼は糸に触れないんだろう……。リボーンは言うまでもなく、獄寺くんも器用だし……あ。


「うえっこれ切っちまいてえ……」
「意外、人識くんが苦手なんて」
「あー……こういうのは無視して進んじまってたからよ。昔糸遣いのねーちゃんと戦ったときも気づかなかったし」
「ぎゃははっそーいやあんときはじめてぜろっちと会ったんだっけな?」
「かはは、見頃にオレの勝ちだっただろ」
「そのあとは僕の連勝だけどね。連勝ついでにそのままおねーさんもらっちゃうぜ?」
「戯言だよな。いろはちゃんを少なくともお前みたいなイカレ野郎に渡したりはできねーから」


言葉はけっこう酷いこともあるけれど、ふたりとも笑ってる。――ふたりの前世の関係とかも気になるけどきっとそんなのいまとなってはどーでもいいことだ……ううん《どちらでも同じことだ》って言われそう。いまは、いろはちゃんを狙う《恋敵(ライバル)》で昔もきっとライバルみたいなもんだったのかな。なんて考えてみる。


「どーでもいいが、そろそろ黙っとけ。声があっちにも聞こえちまうぞ」
「おう、」
「ぎゃは、ごーめんねえ!」
「獄寺、右腕としての判断テストだぞ。どこから入るのが正解だ?」
「はい――恐らくは正面だと。裏と表に分かれるよりは正面から入って外におびきよせたほうが建物のような狭い場所よりもこのメンバーだと安心です」
「正解だ。いいか出夢と獄寺は敵を引きつけて外で戦え、そしてツナと零崎はいろはを助けてから戦闘に参加だ。――油断すんじゃねーぞ」
「誰に言ってるのかなあー赤ん坊ちゃん、僕が油断だと?おねーさん相手でも有り得ないないね」
「んなこと言って一番先に死ぬのはお前になんだよ」
「ああ?」
「揉めんな馬鹿、さっさと行くぞ匂宮」
「はいはーい純情ごくでらくん」
「だ、誰がっ!」
「よーしツナ、オレたちもいこーぜ?」
「あ、うん!」


なんでかいま、変な予感がした。これは単純な誘拐事件なんかじゃなくてもっと人の感情が入り混じった事件なんだって。――そうまるで、ただ楽しいから、みたいな。そんな不吉な予感は、吹き飛ばされてくれればいいのに、なあ。


「任務、開始だぞ」












「――着いたようだ潤。相手は5人、うちひとりは――これは人識だな。あと赤ん坊の音も混ざっている。糸には気づいたようだ」
「まああたしだってあんな一度どっかで使った手が通用するとは思ってねーよ。赤ん坊は、多分リボーンだな。あいつは厄介だ……糸は役立たず、と」
「ええ!?潤さん酷いですよ、姫ちゃんがせっかく苦手な情報収集で鼻水たらして設置したのに!」
「姫ちゃん汗水ね、汚いからそれじゃあ……」
「もう、かくなる上は姫ちゃんが特攻してきます!」
「ああ待て。……奴らは正面から入って外におびきよせようとしているらしい」
「まさに王道じゃん。王道な誘拐に王道な隠れ家、んで王道なヒーローたちに悪役、ははっ楽しみだ!――いくらリボーンでも、糸のほかに曲識みてーなのがいるとは思ってねーだろ」
「………性格悪い…」
「ああ!?なんか言ったかいろは」
「イエナンデモ………」
「まあいいや、とりあえずじゃああたしらも始めるぞ!あいつらの根性どんだけあるか、試してやろうじゃん!!」











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